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誘引物質 ゆういんぶっしつattractant

翻訳|attractant

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

誘引物質
ゆういんぶっしつ
attractant

動物が体外に放出して,同種の他個体の行動に極微量で影響を及ぼす物質をフェロモンと総称するが,それらのうち,他個体を引寄せる効果をもつものを誘引物質という。昆虫のが分泌して雄を誘引する性誘引物が代表的であり,カイコガマイマイガの場合には,物質としての同定も完了している (それぞれボンビコルおよびジプトル) 。また必ずしも性的誘引とは関係なしに同種の個体を集合させるゴキブリの集合フェロモンなども知られている。誘引物質そのものあるいは同じ作用をもつ誘導体を合成して,害虫の捕殺のための誘引剤として利用する研究も行われている。脊椎動物でも,ジャコウネコの麝香 (じゃこう) など,性誘引物質と考えられる物質が知られている。

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百科事典マイペディアの解説

誘引物質【ゆういんぶっしつ】

生物をひきつける作用をもつ物質をいう。多くの昆虫類は特定の誘引物質(カにおける二酸化炭素ハエにおけるアンモニアなど)によって餌に集まり,雌の分泌する性フェロモンによって雌を見いだす。

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世界大百科事典 第2版の解説

ゆういんぶっしつ【誘引物質 attractant】

昆虫は,食物源,産卵場所,集合場所などを探すのに,それらから発散される化学刺激を手がかりにしている場合が多く,食餌誘引物質,産卵誘引物質などと呼ばれている。同種の異性が分泌,放出する誘引物質は,特にフェロモンと呼ばれているが,同種の異性以外の起源で,ある種の一方の性だけを誘引する物質がある。例えば,アンゼリカ油成分のメチルオイゲノールはミカンコミバエの雄成虫を誘引する一種の性誘引物質である。産卵誘引物質としては,アブラナ科植物成分のカラシ油があり,アブラナ科植物を食草とする昆虫の産卵行動を刺激する。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

誘引物質
ゆういんぶっしつ
attractant

動物を引き寄せる効果をもつ物質の総称。通常は誘引する側にもされる側にも利益がある場合に限って用いられる。同種の個体間で働く誘引性のフェロモンはその典型的な例であるが、花の香りのように、花粉を媒介する昆虫を引き付ける物質も広い意味では誘引物質といえよう。これに対して、弱った樹木から出てキクイムシを引き付ける物質や、肉食動物を引き付ける草食動物の匂い物質などは、片方にのみ利益があるので誘引物質には含めない。フェロモン以外の誘引物質として、ミズカビ、褐藻などで配偶子どうしの結合に誘引物質が働いていることが証明されている。このように化学物質による誘引作用は個体間だけでなくさまざまなレベルで生命現象を支えている。[木村武二]

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世界大百科事典内の誘引物質の言及

【カイロモン】より

…ブラウンW.L.Brownら(1970)によって提唱された用語で,ある種の生物がつくった物質が他の種の生物に触れた場合,つくった生物に対してよりも,接した生物の方に有益な効果を及ぼす物質。植物がつくる昆虫の誘引物質は昆虫の行動にとって重要なもので,この例に含められる。一般に誘起物質とよばれるものもカイロモンといえる。…

※「誘引物質」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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