快楽消費(読み)かいらくしょうひ(その他表記)hedonic consumption

知恵蔵 「快楽消費」の解説

快楽消費

音楽や絵画等の芸術鑑賞、ファッション、スポーツ、ゲーム、ウインドーショッピングのように「消費」それ自体が目的であり、快楽であるような消費をいう。主に購買や選択といった現象解明を目的とする従来の消費者行動研究が扱ってこなかった経験・体験といった領域が研究の対象であり、定性的でポストモダン的な研究アプローチが採用される傾向にある。この種の研究では、1980年前後からアメリカのハーシュマンやホルブルックらが先導的役割を果たしてきた。また、快楽消費の概念は、経験としての消費や価値という概念にもつながるため、パインとギルモアが経験価値の創出が企業に大きな収益をもたらしている現状を分析した(B.J.パインII、J.H.ギルモア著/電通「経験経済」研究会訳『経験経済 エクスペリエンス・エコノミー』流通科学大学出版、2000年)ように、実務の世界でも重視されてきている。

(高橋郁夫 慶應義塾大学教授 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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