性嫌悪障害(読み)せいけんおしょうがい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「性嫌悪障害」の意味・わかりやすい解説

性嫌悪障害
せいけんおしょうがい

性的行為の対象となる相手との性器を介しての性的接触を極度に嫌悪して回避することにより、著しい苦痛が生じる、あるいは対人関係が困難になる状態。性的欲求が低下している状態の性欲低下障害とは区別される。原因と考えられるのは、性交時の疼(とう)痛(性交疼痛障害)、幼児期に受けた性的虐待、幼児期から刷り込まれた性行為に対する羞恥(しゅうち)心、強姦(ごうかん)(性的強要)や近親相姦の体験など、さまざまである。このほかに、性的行為の失敗体験、性的行為の対象との人間的葛藤(かっとう)、性的行為の対象に対する認識の変化なども、性的行為や性的接触を回避しようとする、性的欲求の障害の原因としてあげられる。従来は女性に多くみられるものであったが、男性にもその傾向がみられるようになっている。

 DSM(アメリカ精神医学会「精神障害の診断と統計的手引き」)や国際疾病分類ICD)では精神障害として扱われている。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

六訂版 家庭医学大全科 「性嫌悪障害」の解説

性嫌悪障害
せいけんおしょうがい
Sexual aversion disorder
(こころの病気)

 性的雰囲気になるのを嫌ったり、性的接触を極端に嫌悪し回避します。女性の場合、パートナー間での仲のよし悪しは半々ですが、男性では大半夫婦仲がよいにもかかわらず、セックスレスの状態になっています。

 最近急増している男性の性嫌悪症は、ある時からパートナーとだけは性交できないのですが、マスターベーションはできているので、恐怖症に類似しています。

 原因は、愛情の質の変化にあるようです。つまり、従来の男女の愛から家族愛や肉親愛に変化したため、パートナーが性の対象でなくなってしまい、性的状況になると近親姦恐怖が生じて、生理的に拒否してしまうのです。

 治療法は性欲低下障害と同じです。治療は成功率が10~30%と困難です。

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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