性起(読み)しょうき

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

中国、華厳(けごん)宗の学説の一つ。華厳の教学では、天地万物すべて「法界(ほっかい)」すなわち真理の顕現した世界と教えるが、これを衆生(しゅじょう)についていうとき、すべての衆生は法界を体現する仏(法身(ほっしん))と同じ性質を本来有しており、その性より生起・顕現したものであるとみて、これを「性起」という。すなわち、一切衆生悉有仏性(いっさいしゅじょうしつうぶっしょう)に対する華厳宗的解釈である。性起説は、天台宗の性具(しょうぐ)説(衆生の本性には仏から地獄に至る十界(じっかい)を互具していると説く)に対比される。性起はまた因縁(いんねん)生起する有染(うぜん)の諸法に対し、本性清浄な仏の働き、すなわち毘盧遮那(びるしゃな)の智(ち)と悲(ひ)の具現をいう。

[高崎直道]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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