恐る(読み)オソル

デジタル大辞泉 「恐る」の意味・読み・例文・類語

おそ・る【恐る/怖る/畏る/×懼る】

[動ラ上二]恐れる」に同じ。
善根には微少なる広説せば、ないし後世苦果を見ず―・りじ」〈東大寺本地蔵十輪経元慶七年点〉
[動ラ四]恐れる」に同じ。
疾疫鬼魅きみ身に著くこと―・らば」〈不空羂索神呪心経寛徳二年点〉
[動ラ下二]おそれる」の文語形
[補説]古語では、「かつは人の耳におそり、かつは歌の心に恥ぢ思へど」〈古今仮名序〉のように、上二段・四段のいずれかはっきりしない例が多いが、上二段活用のほうが多く現れる。

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精選版 日本国語大辞典 「恐る」の意味・読み・例文・類語

おそ・る【恐・畏・怖・懼】

  1. ( 平安以前では、上二段、四段、下二段と活用し、のち下二段が残る。→おそれる )
  2. [ 1 ] 〘 自動詞 ラ行上二段活用 〙おそれる(恐)
    1. [初出の実例]「後世の苦果を見ず畏りじ」(出典:東大寺本地蔵十輪経元慶七年点(883)二)
  3. [ 2 ] 〘 自動詞 ラ行四段活用 〙おそれる(恐)
    1. [初出の実例]「若し疾疫の鬼魅身に著くこと恐(オソラ)ば」(出典:不空羂索神呪心経寛徳二年点(1045))
  4. [ 3 ] 〘 自動詞 ラ行下二段活用 〙おそれる(恐)

恐るの語誌

( 1 )上二段、四段のいずれか不明の例が多い。たとえば、「続日本紀‐神亀元年二月四日・宣命」に「恐み受け賜はり懼(おそリ)坐す事を」、「古今‐仮名序」に「かつは人の耳におそり、かつは歌の心に恥ぢ思へど」、「今昔‐二九」に「兼て怖(おそ)り思ひ次(つづ)けて臥したる程に」など、連用形「おそり」がそれである。
( 2 )「恐(おそ)る」は古く上二段にも四段にも活用したが、上二段が古いと思われる。四段活用は院政期ごろまで用いられたらしく、ひきつづいて下二段活用も現われた。→おそれる(恐)

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