恐れる(読み)オソレル

デジタル大辞泉 「恐れる」の意味・読み・例文・類語

おそ・れる【恐れる/怖れる/畏れる/×懼れる】

[動ラ下一][文]おそ・る[ラ下二]
危険を感じて不安になる。恐怖心を抱く。「報復を―・れる」「死を―・れる」「社会から―・れられている病気
よくないことが起こるのではないかと心配する。危ぶむ。「失敗を―・れるな」「トキ絶滅を―・れる」
(畏れる)近づきがたいものとしてかしこまり敬う。畏敬いけいする。「神をも―・れぬしわざ」
近世江戸語》「恐れ入る3㋑」に同じ。
栄螺さざえの壺へ赤辛螺あかにしを入れて出すから―・れらあ」〈洒・四十八手〉
[類語](1こわがるおくするおびえるびくつくびくびくするおどおどするおじるおじける恐怖する恐れをなす悪びれるはらはらひやひやどきどきあぶなあぶな恐る恐るこわごわおっかなびっくりおじおじおずおずおののく気が気でない足が地につかない気が揉める居ても立ってもいられない矢も楯もたまらない居たたまれない生きた心地もしない案ずる/(2危惧きぐする危懼きくする懸念する憂える気づかう考え事思案物思い考え心配気疲れ気苦労心痛心労恐れ憂慮取り越し苦労杞憂悲観不安疑懼ぎく胸騒ぎ気がかり心がかり不安心心細い心許こころもとない憂い気遣いわずら怖い危なっかしい気になる気に病む煩慮・憂ゆう惧ぐ・憂懼ゆうくおぼつかない/(3はばか畏怖いふする畏まる謹むしゃちほこばる固くなる・身も縮む・縮こまる小さくなる真面目腐る恐恐恐懼きょうく恐縮有り難いかたじけないうれしいもったいないおそれ多い幸甚恐れ入る痛み入る心苦しい身に余る過分身の縮む思い畏怖恩義恩に着る頭を下げる腰をかがめる平身低頭身に過ぎる三拝九拝深謝感謝拝謝万謝謝意謝恩感佩かんぱいかしこくも感恩有り難がる言葉に甘えるお言葉に甘える厚意多とする感極まる感じ入る感に堪えない身に染みる思いやり

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「恐れる」の意味・読み・例文・類語

おそ・れる【恐・畏・怖・懼】

  1. 〘 自動詞 ラ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]おそ・る 〘 自動詞 ラ行下二段活用 〙
  2. 恐怖を感ずる。身に危険を感じたりしてびくびくする。心がひるむ。
    1. [初出の実例]「近江の守、いかにきこしめしたるにかあらむと歎きおそれて」(出典:大和物語(947‐957頃)一七二)
    2. 「軍(いくさ)におそれて下人ども皆落ちうせたれば」(出典平家物語(13C前)八)
  3. 何か悪いことが起こるのではないかと気づかう。心配する。あやぶむ。
    1. [初出の実例]「季英(すゑふさ)が便(たより)を失ひ、学問に疲るるをば、一度のしきおこなふおそれて」(出典:宇津保物語(970‐999頃)祭の使)
  4. かしこまる。畏敬する。おそれおおく思う。恐縮する。
    1. [初出の実例]「憂陁夷、王の仰せに恐れて答る事无し」(出典:今昔物語集(1120頃か)一)
  5. おそれいる(恐入)
    1. [初出の実例]「『恐(オソ)れたか』『恐れ入りました』」(出典:人情本・恋の若竹(1833‐39)下)
  6. ( 近世からの用法 ) =おそれいる(恐入)
    1. [初出の実例]「二分狂言ではおそれるのう」(出典:洒落本・仕懸文庫(1791)四)

恐れるの語誌

( 1 )「おそる」は、古くは四段または上二段の活用をし、中古から次第に下二段が普通になるが、その後も四段・上二段は訓読語の中に残存する(→「おそる(恐)」の語誌)。
( 2 )平安時代後期まではおもに漢文訓読系の文章に用いられたが、それ以後訓読系の文に限らず多用され、急速に一般化した。しかし、日常語として古来用いられたのは、主に「おづ(おじる)」である。
( 3 )一般に、「おづ」が無意識的な身体的反応としての恐怖の動作を表わすのに対し、「おそる」はどちらかというと、意識的・精神的な反応を表わす。したがって「おそる」は、恐怖だけでなく、将来を危惧したり、他人のことを心配したり、尊貴なものを畏怖したりする場合にも使われる。→「おじる(怖)」の語誌

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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