恩給担保(読み)おんきゅうたんぽ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「恩給担保」の意味・わかりやすい解説

恩給担保
おんきゅうたんぽ

年金として恩給を受ける権利を担保に供すること。恩給法(大正12年法律第48号)は恩給権を譲渡したり、担保に供することを原則的に禁止している。しかし、実際には、債権者に恩給証書を渡して、恩給の受領委任する形式で恩給の取立代理権を与え、それに債務完済までこの委任を解除しない旨の特約を付して、担保の目的を達することが行われた。一方、判例はこの種の特約は脱法行為として、無効としている。それでは実情に即していないこともあって、日本政策金融金庫(旧、国民金融公庫)および別に法律をもって定める金融機関に限り、担保を供することができるとされている(恩給法11条)。1954年(昭和29)「国民金融公庫が行う恩給担保金融に関する法律」が施行されたが、国民金融公庫は1999年(平成11)10月に国民生活金融公庫、2008年10月に日本政策金融公庫に事業承継されたことから、法律名もそのつど改題され、現在は「株式会社日本政策金融公庫が行う恩給担保金融に関する法律」となっている。

[川井 健]

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