商工組合中央金庫,中小企業金融公庫と並ぶ政府系中小企業専門金融機関。1949年6月,国民金融公庫法に基づき設立された全額政府出資の特殊法人。当初は,第2次大戦前からの庶民金庫,恩給金庫(両金庫とも1938年設立,1949年廃止)の義務を継承し,民間金融機関からの資金融通を受けることが困難な国民大衆に対して,必要な事業資金を貸し付けることを目的としていた。しかし日本経済が復興を終えて高度成長を遂げるにつれ,中小企業専門金融機関としての性格を強め,省力化,公害防止関連の設備資金や合理化等の経営改善資金を融通するようになった。また67年,環境衛生金融公庫法に基づく環境衛生金融公庫(飲食店,理容・美容業などの環境衛生関係の営業について,必要な資金を融通)が分離・設立された。近年は経済のサービス化に対応して流通・小売業などへの貸付けも急増するなど,幅広い資金供給を行っている。公庫の性格上,業務運営には国民各層の意見を反映させる必要があるので,大蔵大臣の諮問機関として国民金融審議会が設置され,業務運営上大きな役割を担っている。総裁,監事の任命等,業務全般につき大蔵大臣が監督する。99年10月環境衛生金融公庫と統合し,国民生活金融公庫に改組され,さらに2008年10月日本政策金融公庫に統合された。
→公庫
執筆者:竹内 文則
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1949年(昭和24)に庶民金庫および恩給金庫の業務を承継して設立された政府金融機関。「国民金融公庫法」に基づき、「銀行その他一般の金融機関から資金の融通を受けることを困難とする国民大衆に対して、必要な事業資金等の供給を行うこと」を目的として設立された。この目的を達成するため、普通貸付、恩給担保貸付、記名国債担保貸付、進学資金貸付などを主要な貸付業務として行った。このなかでは中小零細企業者に対する生業資金の貸付を意味する普通貸付が圧倒的な比重を占めたが、なかでも小企業等経営改善資金貸付制度は、無担保・無保証の生業資金の供給によって小零細企業の経営改善を図るためのものとして重視された。貸付のための原資は、政府出資のほかは、政府からの借入金のみであった。役員は総裁、副総裁、理事、監事からなり、総裁および監事は内閣の承認を得て大蔵大臣が任命し、副総裁および理事は、総裁が大蔵大臣の認可を受けて任命した。
政府金融機関統廃合の一環として、1999年(平成11)10月環境衛生金融公庫と統合し、これまでの目的・業務を継承する形で国民生活金融公庫として再スタートした。なお、国民生活金融公庫は2008年10月に解散し、その業務は日本政策金融公庫に引き継がれている。統合前の1999年3月時点で、資本金2419億1400万円、職員数4797人、融資実績3兆7807億円(1998年3月~1999年3月実績)、融資残高9兆6427億円。
[原 司郎]
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[経営の安定政策]
金融の支援,自己資本の充実,倒産防止対策の3施策からなる。(1)中小企業に対する金融支援施策(〈中小企業金融〉の項参照)は,金融制度とその補完からなるが,金融制度のおもなものとして,全額政府出資の金融機関である中小企業金融公庫(1953年公布の中小企業金融公庫法)と国民金融公庫(1949年公布の国民金融公庫法),半官半民の出資による商工組合中央金庫(1936設置)の3機関があり,中小企業に対する設備資金,長期運転資金,運転資金の特別の融資を行っている。その他,環境衛生関係営業者を対象にして設備資金の融資をする環境衛生金融公庫(1967年公布の環境衛生金融公庫法)がある。…
※「国民金融公庫」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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