国民金融公庫および環境衛生金融公庫の目的・業務を継承し、両金融公庫を統合して1999年(平成11)10月に設立された政府金融機関。「一般の金融機関から資金の融通を受けることを困難とする国民大衆に対して、必要な事業資金等の供給を行うことにより、国民経済の健全な発展および公衆衛生その他の国民生活の向上に寄与すること」を目的とした。しかし、2005年に出された「政策金融改革の基本方針」において「民間中小金融機関でも採算上供給困難な零細・中小企業への事業資金貸付は、政策金融として残す(経営改善貸付、生活衛生資金貸付を含む)」「教育資金貸付は、低所得者層の小口の資金需要に鑑(かんが)み、所得制限を引き下げ縮減して残すが、民間金融機関や日本学生支援機構の奨学金制度で代替可能な部分については撤退する」という方針が決まった。この方針に基づき、2006年の「政策金融改革に係る制度設計」に沿って、中小企業金融公庫、農林漁業金融公庫、国際協力銀行(国際金融部門)とともに、2008年10月日本政策金融公庫(日本公庫)に統合され、当該公庫に事業承継されている。統合されたとはいえ、民間金融だけではファイナンシャル・ギャップを生じやすい分野への専門的金融の必要性は変わらないことから、国民生活金融公庫の事業そのものは日本公庫の「国民生活事業」として引き継がれている。
[前田拓生]
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