戸木村
へきむら
[現在地名]久居市戸木町
久居城下の西に隣接する村で、雲出川の北岸、河岸段丘上にあり、中心集落から西へ、奈良道に沿って延びる集落を羽野と別称する。羽野の南に善応寺山という小丘があり、その南崖下を大きく湾曲して雲出川が流れ、雲出井はそこを取入口としている。村の北方は安濃郡との境界となる丘陵で、その谷間に堤防を造って灌漑用池風早池が設けられており、風早池の東側に狐塚という小集落がある。善応寺山と風早池周辺とには古墳が多く、なかには漢式鏡を出土する古墳もあり、古代豪族の存在を思わせる。
「神鳳鈔」一志郡の項に「中村拝野御厨」があり、斎藤拙堂は「伊勢国司記略」において、これを羽野に比定する。そして応永二二年(一四一五)伊勢国司の北畠満雅反乱に関する「南方紀伝」の「北伊勢関・神戸・峯・国府・鹿伏兎等、各守拝野城云云」の記述についても、羽野と断定している。学者のなかには「拝野城」を安濃郡萩野(現安芸郡芸濃町)に比定する説もあるが、地理的にみて当村の羽野とするほうが妥当性が高いとも思われる。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
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