日本大百科全書(ニッポニカ) 「安濃」の意味・わかりやすい解説
安濃
あのう
三重県中部、安芸郡(あげぐん)にあった旧町名(安濃町(ちょう))。現在は津市の北部を占める一地区。1955年(昭和30)草生(くさわ)、村主(すぐり)、安濃、明合(あけあい)の4村が合併して協和村を設置、同年安濃村と改称。1977年町制施行。2006年(平成18)久居(ひさい)市などとともに津市に合併。名称は古代からの旧郡名安濃(あの)に由来する。安濃川中流の平地の農村で、地域の60%が可住地で、そのうち51%が耕地となり、水田率は87%である。合併前は津市の郊村として発展。園芸農業が盛んで、野菜茶業研究所があり、住宅、工業団地の進出も著しい。東端を伊勢自動車道(いせじどうしゃどう)が走り、近くに津インターチェンジが設置されている。西は布引山地(ぬのびきさんち)で西端に経ヶ峰(820メートル)がそびえ、山頂に経塚と城跡がある。明合に土居(どい)を巡らした珍しい形式(双方中方墳)の明合古墳(国指定史跡)がある。善福寺の毘沙門天立像(びしゃもんてんりゅうぞう)は国指定重要文化財。
[伊藤達雄]
『『安濃町史』全2巻(1994、1999・安濃町)』