精選版 日本国語大辞典 「手内」の意味・読み・例文・類語
て‐の‐うち【手内】
- 〘 名詞 〙
- ① てのひら。たなごころ。掌。
- [初出の実例]「太刀よりつたふ汗に血と、手のうちしげくまはりければ」(出典:曾我物語(南北朝頃)九)
- ② うでまえ。てなみ。技量。また、こつ。要領。
- [初出の実例]「此一流にて手の中(ウチ)を覚へ釣ずといふ事なし」(出典:浮世草子・俗つれづれ(1695)三)
- ③ 乞食などにほどこす金銭や米。
- [初出の実例]「行に手のうちや入子のはちたたき〈吉勝〉」(出典:俳諧・崑山集(1651)一三)
- ④ てのひらに感じる重量。手ごたえ。
- [初出の実例]「何とやらん手のうちがかるひやうに存て」(出典:虎明本狂言・鱸庖丁(室町末‐近世初))
- ⑤ ( 手の中に持つことの意から ) 権力のおよぶ範囲内。また、容易なこと。
- [初出の実例]「北国は今は手(テ)の内(ウチ)と思し召さるべし」(出典:源平盛衰記(14C前)二八)
- ⑥ 胸のうち。心の中。方寸の中。心中で計画していること。たくらみ。
- [初出の実例]「むかふのまはりめたがひ、手の内かはるやうにおもはるれば」(出典:評判記・色道大鏡(1678)五)
- ⑦ 三味線の撥(ばち)の中央、すなわち、さい尻とひらきとの中間の部分。撥を持つとき、手で握る所。手のなか。