扶南国(読み)ふなんこく(英語表記)Fu-nan

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「扶南国」の意味・わかりやすい解説

扶南国
ふなんこく
Fu-nan

1世紀末頃より7世紀前半まで,インド的国家としてメコン川下流域に建てられていたクメール族の国家。首都ビヤーダプラは現在のカンボジア,プレイペン州バ・プノム山付近に比定される。一時は現在のタイからビルマ (現ミャンマー) 南部,さらにはタイ湾をへだてたマレー半島全域をその支配下におき,東南アジアにおける最も優勢な国家となった。このような隆盛は,この国の建国初期以来引続いて行われてきた,高い文化を身につけたインドからの移住者たちの支配とその指導に負うところが大きい。6世紀中葉,北方の属国としてメコン川中流域 (現ラオス南部) に位置していた同民族系統の国家真臘の攻撃を受けて領土の大部分を失い,都を南方ナラバラナガラ (タケオ) に移し,7世紀中葉完全に滅亡した。扶南遺跡は,外港として繁栄したオケオをはじめ,現在のコーチシナやカンボジア南部に多く散在している。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

世界の電気自動車市場

米テスラと低価格EVでシェアを広げる中国大手、比亜迪(BYD)が激しいトップ争いを繰り広げている。英調査会社グローバルデータによると、2023年の世界販売台数は約978万7千台。ガソリン車などを含む...

世界の電気自動車市場の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android