日本大百科全書(ニッポニカ) 「抗原虫薬」の意味・わかりやすい解説
抗原虫薬
こうげんちゅうやく
原虫性疾患の治療と予防に用いられる薬剤。病原体として人体に寄生する原虫にはマラリア原虫、赤痢アメーバ、トリパノソーマ、トリコモナス、リーシュマニアなどがある。マラリアにはキニーネ、クロロキン、アクリナミン、プリマキン、「ファンシダール」、ピリメタミンなどがある。アメーバ赤痢に対してはエメチン(吐根アルカロイド)、カルバルゾン、パロモマイシンやテトラサイクリン系抗生物質が用いられ、トリパノソーマは睡眠病の病原体で、この治療薬として酒石酸ナトリウムアンチモン、ペンタミジン(「ロミジン」)、「ゲルマニン」などがあげられる。トリコモナスの局所感染症に対してはトリコマイシン、ナイスタチンなどの抗真菌性抗生物質のほか、メトロニダゾール、チニダゾールなどの内服薬がある。リーシュマニアは熱帯病であるカラアザールの病原体で、この治療にはスチボフェン(「ファジン」)、ペントスタムなどが用いられる。
[幸保文治]