日本大百科全書(ニッポニカ) 「クロロキン」の意味・わかりやすい解説
クロロキン
くろろきん
chloroquine
抗マラリア剤、膠原(こうげん)病治療剤で、リン酸クロロキンが用いられる。1930年代にマラリアの治療および予防の目的で開発されたが、その後、結節性紅斑(こうはん)やリウマチ性関節炎などの膠原病に有効なことがわかり、抗マラリア剤としてよりむしろ膠原病治療剤として繁用された。しかし、連用により視野狭窄(きょうさく)という不可避的な副作用が発現し、1975年(昭和50)日本では製造、販売が中止されたが、外国では市販されている。抗マラリア作用はキニーネの十数倍から数十倍も強力で、赤血球外のマラリア原虫には作用しないが、赤血球内の繁殖体には強く作用し、熱帯熱マラリアはこれでほとんどが治癒する。なお、最近はクロロキン耐性をもつ熱帯熱マラリアが出現している。
[幸保文治]