クロロキン(読み)くろろきん(その他表記)chloroquine

翻訳|chloroquine

デジタル大辞泉 「クロロキン」の意味・読み・例文・類語

クロロキン(chloroquine)

マラリア薬の一。抗炎症作用もあるのでリウマチなどにも用いられたが、視覚障害などの副作用があり、日本では昭和50年(1975)に製造・販売中止。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「クロロキン」の意味・わかりやすい解説

クロロキン
くろろきん
chloroquine

抗マラリア剤、膠原(こうげん)病治療剤で、リン酸クロロキンが用いられる。1930年代にマラリアの治療および予防の目的で開発されたが、その後、結節性紅斑(こうはん)やリウマチ性関節炎などの膠原病に有効なことがわかり、抗マラリア剤としてよりむしろ膠原病治療剤として繁用された。しかし、連用により視野狭窄(きょうさく)という不可避的な副作用が発現し、1975年(昭和50)日本では製造、販売が中止されたが、外国では市販されている。抗マラリア作用はキニーネの十数倍から数十倍も強力で、赤血球外のマラリア原虫には作用しないが、赤血球内の繁殖体には強く作用し、熱帯熱マラリアはこれでほとんどが治癒する。なお、最近はクロロキン耐性をもつ熱帯熱マラリアが出現している。

[幸保文治]

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知恵蔵mini 「クロロキン」の解説

クロロキン

抗炎症作用、免疫調節作用、抗マラリア作用、抗腫瘍作用など多岐にわたる効能を有する薬剤。リン酸クロロキン(chloroquine)とヒドロキシクロロキン(Hydroxychloroquine)の2種がある。1934年にドイツの製薬メーカーであるバイエルがリン酸クロロキン(chloroquine)の合成に成功し、マラリヤに対する治療薬として開発され、用いられてきた。近年は様々なウイルス増殖を抑制する効果が報告されており、2020年には新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)の治療薬として日本を含む複数の国で投与され、症状が改善した症例が報告された。

(2020-3-25)

出典 朝日新聞出版知恵蔵miniについて 情報

世界大百科事典(旧版)内のクロロキンの言及

【クロロキン網膜症】より

薬害の一つ。リン酸クロロキンchloroquini phosphasを長期間,大量に服用したときに起こる視力障害。リン酸クロロキンは,元来マラリアの予防・治療薬であったが,種々の慢性炎症にも有効であることが知られ,とくに腎炎に対して用いられた(現在は製造が中止されている)。…

※「クロロキン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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