カラアザール(読み)からあざーる(その他表記)kala-azar

翻訳|kala-azar

デジタル大辞泉 「カラアザール」の意味・読み・例文・類語

カラ‐アザール(〈ヒンディー〉kālā-āzār)

《黒い病気の意》鞭毛虫べんもうちゅう一種リーシュマニア‐ドノバニの感染で起こる悪性の感染症。サシチョウバエ媒介発熱皮膚黒褐色色素沈着とが目立つため黒熱病ともいわれ、致命率が高い。流行地は中国の揚子江以北・インド中近東地中海沿岸・中南米

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精選版 日本国語大辞典 「カラアザール」の意味・読み・例文・類語

カラ‐アザール

  1. 〘 名詞 〙 ( [ヒンディー語] kālā-āzār ) 伝染病の名。急に発病し、寒け、ふるえを伴って高熱を出し、次第に貧血が強くなり、皮膚は暗褐色となる。アフリカフィリピン、インドなどで多く、日本ではまれ。原生動物ドノバニーが病原体。黒熱病。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「カラアザール」の意味・わかりやすい解説

カラ・アザール
からあざーる
kala-azar

リーシュマニア症の一種で、内臓リーシュマニア症ともいう。住血鞭毛(べんもう)虫類に属するドノバンリーシュマニアLeishmania donovaniによって主として脾臓(ひぞう)や肝臓などの網内細胞系および骨髄が侵され、流行地では6歳以下の小児に多くみられる全身感染症である。カラは黒い、アザールは病気を意味するアッサム地方の土語で、黒熱病、熱帯脾腫(ひしゅ)、ダムダム熱、アッサム熱など、流行地によっていろいろの呼び名がある。ドノバンリーシュマニアは、イギリスの軍医で病理学者でもあったリーシュマンSir W. B. Leishman(1865―1926)がインド駐在中に1900年発見、03年に副官のドノバンCharles Donovanが立証し、確認された。

 カラ・アザールはサシチョウバエの媒介によって患者または病犬などから伝播(でんぱ)される。分布は地中海、カスピ海沿岸、東部アフリカ、インド、中国、南アメリカにわたる。潜伏期は不定であるが通常は2、3か月で、初発症状は急性上気道炎、消化器症状で始まることもあるが、不定の発熱以外に症状のないこともある。リーシュマニア侵入の直接刺激または副腎(ふくじん)皮質不全に伴って皮膚がメラニン色素沈着により黒くなる。出血傾向のある例では点状出血や紫斑(しはん)をみることもある。脾腫は著明で臍部(さいぶ)(へそ)に達することもあるが、肝腫は中等度で柔らかい。一般的治療として高タンパク食とビタミン剤を投与する。特効薬には五価アンチモン剤があるが、無効の場合にはジアミジン系のペンタミジンなどを用いる。

[松本慶蔵・山本真志]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カラアザール」の意味・わかりやすい解説

カラアザール
Kala-Azar

黒熱病ともいう。鞭毛虫類の一種であるリーシュマニアという原虫の寄生によって起きる疾患。中国,ロシア,インド,エジプト,東アフリカ,地中海地方に分布する。カラアザールとはベンガル語で黒熱 black feverという意味。砂ハエの一種によって媒介され,主として脾臓,肝臓,骨髄などに寄生する。症状は初め高熱,貧血,肝臓や脾臓の腫大などであるが,慢性期になると貧血が高度となり,皮膚に土色の色素沈着が出てくる。治療は5価のアンチモン製剤が有効。

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世界大百科事典(旧版)内のカラアザールの言及

【リーシュマニア】より

…ハエの体内では,長さ10~20μmの細長い形をしており鞭毛を有する。リーシュマニアには,黒熱病(カラアザール)をひき起こすドノバニL.donovani,東洋腫をひき起こすトロピカL.tropicaなどが知られている。黒熱病では,サシチョウバエに刺された後,1ヵ月後くらいから脾臓が腫大し,皮膚に黒褐色の沈着が生じる。…

※「カラアザール」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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