日本大百科全書(ニッポニカ) 「抗菌ガラス」の意味・わかりやすい解説
抗菌ガラス
こうきんがらす
antibacterial glass
銀や銅、亜鉛などの成分をガラスに含有させ、抗菌性をもたせたガラス。ガラス中に含有させたこれらの金属イオンが水分存在下で表面から徐々に溶出し、長期間にわたって抗菌性を発現するため、細菌やカビの活動を抑制することができる。抗菌ガラスは、ガラスフリットのように微粉化し、使用されることが多く、樹脂中に練り込む方法、バインダーにより表面に付着させるコーティング法などにより、それら製品に抗菌性を付与することができる。樹脂成形品に対する抗菌ガラスの練り込み量は0.2~0.3質量%程度である。抗菌ガラスは、建材、鉄道・自動車・船、台所用品、家電製品など、さまざまな分野で応用されている。
[伊藤節郎]
『作花済夫・伊藤節郎・幸塚広光・肥塚隆保・田部勢津久・平尾一之・由水常雄・和田正道編『ガラスの百科事典』(2007・朝倉書店)』