酵素が基質に作用すると,酵素-基質複合体を形成する.この際,基質と類似した構造を有する物質(阻害剤)を添加すると,酵素は阻害剤とも結合し,酵素-阻害剤複合体を形成するために,酵素の機能が阻害される.この現象をきっ抗的阻害という.酵素と阻害剤の結合が可逆的であれば,基質濃度が阻害剤の濃度に対して十分大である場合には阻害効果は現れない.たとえば,スクシナートデヒドロゲナーゼはコハク酸をフマル酸にする反応を触媒するが,マロン酸はこの反応に対し,きっ抗阻害的に作用する.この阻害様式は一定の酵素量および阻害剤量で基質濃度を変化させ,その際の反応速度を測定し,解析することによってきっ抗的阻害であるか非きっ抗的阻害であるかが判明する.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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