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拷問の制(読み)ごうもんのせい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「拷問の制」の意味・わかりやすい解説

拷問の制
ごうもんのせい

大化以前の裁判手続において,すでに拷問が認められていたことは,『日本書紀』『風土記』『隋書』倭国伝などの書から,これを立証できる。拷問の制は,次の律令制においても認められていたが,獄令,断獄律にみられる拷問の制は,囚に対する仁恵を重んじる隋唐の律令にならって,きわめて制限的なものであった。たとえば,律によれば,裁判官はまず証拠を取調べるべきであり,諸証だけでは犯罪事実を認定できない場合に,初めて拷問の手段を用いることが許され,また獄令によれば,その拷具,度数にも厳格な制限が設けられていた。しかし,このような律令の制限も現実には無視されることが多く,拷問の結果「杖下ニ死シタ」実例は,奈良・平安期の国史に散見している。拷問は,平安期検非違使の庁例においては,さらに広く使用され,『愚昧記』紙背文書にみられる使庁の問注記には,これを行なったことを示す「寄器」なる文字が多くみられ,『宇治拾遺物語』には,使庁の拷問によって,わずか 10日で囚が死亡したという記述がみられる。

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