指定校制度(読み)していこうせいど

大学事典 「指定校制度」の解説

指定校制度
していこうせいど

労働市場との関係では,企業が一定数を特定の学校から採用する制度。会社が指定した学校の学生のみが採用試験を受けることができる。企業が優秀な人材を確保するための手段だが,個人の能力ではなく学校歴によるスクリーニングがおこなわれる点で,問題視される。大学の場合,第2次世界大戦前の会社身分制における学校歴主義が,戦後,大企業によって指定校制度という形で受け継がれた。1970年代の学歴社会批判を受け,とくに人文・社会科学系において指定校制度は徐々に衰退し,学生が自由に応募できる自由応募制へ移行していったが,自由公募制の下でも「リクルーター」と呼ばれるOB,OGを経由した特定大学出身者の採用や,特定大学からの採用目標数の設定など,事実上指定校制度と同じ機能を果たす採用行動は一般的に見られた。就職協定廃止(1996年)以降,ソニーが新卒採用時に出身大学を不問にしたことを機に,こうした採用行動は一時衰退したが,近年,採用活動開始時期の「後ろ倒し」で,「リクルーター」復活の兆しが見られるともいわれる。
著者: 稲永由紀

出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報

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