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労働市場 ろうどうしじょう labour market

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

労働市場
ろうどうしじょう
labour market

生産要素としての労働用役が取引される市場をいう。労働市場において企業は一定の期間,一定の労働条件のもとで労働者を生産活動に従事させる権利を獲得し,一方,労働者はその対価として賃金その他の所得を受取る。

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デジタル大辞泉の解説

ろうどう‐しじょう〔ラウドウシヂヤウ〕【労働市場】

資本主義社会で、労働力が商品として取引される抽象的な市場。

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世界大百科事典 第2版の解説

ろうどうしじょう【労働市場 labour market】

経済の発展や景気変動に応じて,人間の肉体的・精神的諸能力の総体である〈労働力〉という特殊な商品を種々な職業,産業,地域に配分,再配分しながら,労働力商品の価格(賃金)が決定される機構を労働市場という。労働力商品の買手である労働需要は,資本の蓄積をともなう経済発展によって長期的,短期的に変動する。短期的には,景気変動によって量的に変化し,長期的には,技術的進歩をともなう産業構造の高度化によって労働需要の質的構造が変化する。

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大辞林 第三版の解説

ろうどうしじょう【労働市場】

資本主義下で、労働者と使用者により、需要・供給の法則に従って労働力を取引商品として形成される抽象的な市場。

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(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

労働市場
ろうどうしじょう
labour market英語
Arbeitsmarktドイツ語

労働力商品をめぐって売り手(労働者)と買い手(資本家)の間で取引が行われ、この需給関係によって賃金などの労働条件が決定される場を労働市場という。労働市場が成立する前提として、労働力(労働する際に行使される人間の身体的および精神的諸能力)が商品となることが必要である。そのためには、人格的、身分的に自由であり、かつ生産手段を所有せず、労働力を販売する以外には生活できない人々が存在していなければならない。[伍賀一道]

マルクス経済学の労働市場論

一般の商品の需給関係と労働力商品の需給関係とでは性質が異なる。前者では需要と供給は別々の要因によって規定されているが、後者の場合、資本の蓄積過程が労働力の需要と供給に同時に作用している。まず、資本の蓄積は生産過程において社会的生産力の発展に依拠して剰余価値(利潤)を生産する方法の発展を促す。この過程は資本の有機的構成の高度化(生産手段の購入に充当される資本に比べて、労働力の購入にあてられる資本が相対的に減少すること)をもたらし、相対的過剰人口(各種の形態の失業者)を生み出す基本的要因となる。相対的過剰人口の存在は、就業労働者に対して長時間労働、過度労働や賃金の切下げを強いる圧力となる。これによって就業労働者がより多く労働したり、賃金の低下を家族の多就業で補うことになれば、労働力の供給過剰はいっそう増大する。労働者は労働力の販売を一時制限して労働市場における有利な状況を待つことができないということも、労働力の供給過剰を促進する。
 このようにマルクス経済学では、需要(資本蓄積)と供給(労働者人口)が相互に独立した関係にあって、両者の量的関係で賃金が決定されるという労働市場のとらえ方を批判する。資本は労働市場の需要面だけでなく供給の側面にも同時に作用しており、資本蓄積はそれ自身のなかに労働供給の限界を克服し、相対的過剰人口を絶えず生み出す機構を備えていると考える。[伍賀一道]

労働経済学の労働市場論

近代経済学に依拠する労働経済学labour economicsでは労働サービスが取引される場が労働市場で、そこで労働サービスの価格(賃金)とその取引量(雇用)が決定されるが、その際、労働サービスの需要(企業)と供給(労働者)は相互に独立した要因によって規定されるととらえる。賃金が高くなるにつれて労働供給量は増加し、他方、労働需要量は減少するので、横軸に労働需要・供給量、縦軸に賃金を取ると、労働供給曲線は右上がり、労働需要曲線は右下がりになる。完全競争的労働市場では、労働供給曲線と需要曲線の交点で労働サービスの取引が成立し、賃金と雇用量が決定される。労働者が市場で成立する賃金額を受け入れる限り雇用されるので、非自発的失業は発生しない。しかし、現実の労働市場はこのように競争的ではなく、労働需給の情報が偏在していること、労働者の年齢や職種、地域をめぐって需給の間でミスマッチがあること、労働組合の抵抗によって賃金が十分に低下しないことなどのため、失業が発生する。
 労働経済学の労働市場論では、(1)労働移動を通じて行われる労働の職業間、産業間の配分と再配分の問題、(2)労働移動の契機となる相対的な労働条件の格差の形成過程の問題、(3)労働供給量を規定する要因、(4)労働需要の構造、(5)それに対する労働供給の適応・不適応の問題などが分析対象となる(氏原正治郎編『日本の労働市場』)。また、労働市場を、企業横断的に労働力の需給調整が行われる機構としての外部労働市場と、企業内部における労働力の需給調整(労働者の配置や昇進、賃金管理など)の場である内部労働市場に分けてとらえる理論がある。大企業では専門的技能養成を企業内で行うため、労働移動を抑制する傾向(長期雇用)がみられるが、内部労働市場はこうした実態に着目した理論である。

西欧の労働市場

イギリスなどの西欧諸国では産業革命を経て、一方で機械工などの男子熟練職種の労働市場が、他方で女性や年少者を中心とする不熟練職種の単純労働市場が成立した。熟練労働者は職業別労働組合を組織し、徒弟制度やクローズド・ショップ政策を用いて組合員の数を制限し、労働市場における供給独占によって労働者に有利な条件の獲得を資本家に迫った。さらに職業別組合は失業手当など共済制度を整えた。独占資本主義段階に入って、大量生産方式が普及し熟練職種の解体が進むようになると、熟練労働者の労働市場における優位性は崩れた。不熟練労働者や失業者の増大を背景に、職種を超えて同一産業に従事する労働者を組織した産業別組合や一般組合が職業別組合にとってかわった。労働力の供給制限という方法はもはや通用せず、その運動は最低賃金制や社会保険など社会政策的諸制度の実現を国家に要求する方向へ進んだ。第二次世界大戦後、ソ連に対抗するために、欧米の先進資本主義国家は資本に高利潤を保障しつつ失業者の救済を図る完全雇用政策をとって労働市場への介入を強めた。
 しかし、1973年の第一次石油危機を契機に世界経済は停滞し、スタグフレーションが進むなか、完全雇用政策は破綻(はたん)した。労働政策分野では公的保障(失業者に対する生活保障や公的就労事業の創設など)を抑制するとともに、労働市場において供給メカニズムが発揮されるようにすべきとする考え方が強まった。これは1980年代以降、労働市場の弾力化、規制緩和政策として展開された。労働市場の弾力化推進論は、労働市場の硬直性が低生産性の要因となり、失業の増大をもたらすので、雇用の硬直化を避け、規制緩和による労働コストの圧縮を通して企業の競争力を回復させて雇用の拡大を進めるべきとした。[伍賀一道]

日本の労働市場

日本の場合、産業資本主義の確立と労働市場の形成の過程は、農村を支配した寄生地主制、小作制度に規定されて独特なものとなった。当時の基幹部門である繊維産業の労働市場に包摂された若年女子労働力は、高率小作料の重圧を受けた零細小作農家の子女で、その賃金は家計補助的水準にまで押し下げられていた。他方で造船や車両製造などの機械工に代表されるような、労働力流動性が高く、横断的な男子熟練労働市場も形成されたが、量的には前者が主要な位置にあった。工場労働者の構成上、男子労働者が女子を上回るのは1930年代になってからである。独占資本主義段階になると、企業内で熟練工の養成が行われるようになり、横断的であった男子熟練労働市場は企業別分断化が強められた。また大企業労働市場と中小企業労働市場の分断が深まった。
 第二次世界大戦後、高度成長期には、大企業が若年労働力の採用を増やしたため一部に労働力不足現象が生じた。一方、技術革新にも適応しきれない中高齢労働者は、大企業から排除され中小企業労働市場へ下向移動した。高度成長が破綻し低成長に移行した1970年代後半以降、大企業では正規労働者の削減が行われ、他方でパートタイマー、社外工、派遣労働者などの非正規雇用が活用されるようになった。こうした労働市場の変化は、1990年代以降、グローバル経済化の進展および規制緩和政策の推進によっていっそう顕著になった。総務省の2007年「就業構造基本調査」によれば、非正規雇用は全労働者の35%余に達している。[伍賀一道]
『氏原正治郎編『講座労働経済 第1巻 日本の労働市場』(1967・日本評論社) ▽尾高煌之助著『労働市場分析』(1984・岩波書店) ▽氏原正治郎・高梨昌著『日本労働市場分析』上下(1971・東京大学出版会) ▽永山武夫編著『新版 労働経済』(2000・ミネルヴァ書房) ▽太田聰一・橘木俊詔著『労働経済学入門』(2004・有斐閣)』

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世界大百科事典内の労働市場の言及

【企業内労働市場】より

…労働市場は,地域,職種,労働力のタイプ,企業,労働組合などを単位として細分化されていることがある。企業や労働組合のように,組織を単位として形成される労働市場を内部労働市場と呼ぶ。…

【市場】より

…これら雇用,金融関係も競争的要素を含んで貨幣支払によってなされるところから,それらを財市場に擬すことができるようになった。すなわち雇用は労働力商品ないし労働サービスの売買で労働市場をなし,金融は貨幣使用や債券売買,いわゆる金融商品の売買であり,金融市場においてなされるとみなされることになった。こうして市場は,場所からいっても機能からいっても局所的なものでなく,社会的機能をもつがゆえにそうなるのだが,他の社会制度からの限界づけや他の制度との調和を伝統,慣行,法規則などのかたちで制度に組み込んだ売買の制度であるといえる。…

【労働経済学】より

…日本ではそれは明治期の学界における労働問題一般の研究に端を発し,その後ドイツ社会政策学の影響を受けた第2次大戦前から戦後にかけての社会政策の長い伝統のもとで発展させられてきた。1950年代半ば以降社会政策研究の蓄積を生かしつつも,一方ではアメリカにおける労働経済学の発展に触発され,他方では日本の労働市場や労働組合運動の実態分析の蓄積の上に立って,労働問題の研究を,市場機構の実証分析をより積極的にふまえた〈労働経済論〉として発展させようという動きが強まり,今日における〈労働経済学〉の萌芽を形成するに至った。このように労働経済学は,それぞれの国の歴史的条件,政策意識,分析理論枠組みの発展のあり方に規定されて独自の展開をしてきているが,あえて共通の特徴を挙げるなら次の3点を指摘することができよう。…

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