日本大百科全書(ニッポニカ) 「排水組織」の意味・わかりやすい解説
排水組織
はいすいそしき
高等植物における水液の排出に関係する組織で、分泌組織の一種。排水組織には、水孔、排水細胞、排水毛などがある。水孔は一般に葉脈の末端付近の葉縁にあり、脈端の仮道管から出る水は、葉肉の組織を通って水孔から水滴となってあふれ出る。排水細胞は主として葉の表面にあり、一ないし数個の特殊化した表皮細胞からなり、そのわずかに突出した外壁から水滴を出す。排水毛も表皮細胞の変形で、糸状に連なる数個の細胞からなる毛状の構造をもち、その先端または途中の細胞から水分を分泌する。水孔から排出される水液には、ほとんど灰分や有機物質が含まれていないが、排水細胞や排水毛から出る水液には、炭酸カルシウムその他の塩類や糖などの有機物質が含まれる場合がある(とくに塩生植物で著しい)。
[相馬研吾]