接触式硫酸製造法(読み)セッショクシキリュウサンセイゾウホウ

デジタル大辞泉 「接触式硫酸製造法」の意味・読み・例文・類語

せっしょくしき‐りゅうさんせいぞうほう〔‐リウサンセイザウハフ〕【接触式硫酸製造法】

接触法の正式名称。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

化学辞典 第2版 「接触式硫酸製造法」の解説

接触式硫酸製造法
セッショクシキリュウサンセイゾウホウ
contact process for manufacture of sulfuric acid

五酸化バナジウム系触媒を用い,二酸化硫黄を気相接触酸化して無水硫酸をつくり,これを循環酸(94~96% H2SO4)に吸収させて98% 硫酸を製造する方式

上式の平衡定数 Kp の温度変化の関数式には,log Kp(松井式)などがあり,その値は温度とともに減少する.したがって,低温ほど転化率は高いが,反応速度の点から400~600 ℃ で触媒反応を行っている.SO27%,O214% の平衡転化率は,400 ℃ では98% 以上,550 ℃ では90% 以上,600 ℃ では80% 以下である.触媒は初期には白金,酸化鉄であったが,現在はおもに五酸化バナジウム系触媒である.バナジウム触媒はV2O5助触媒(主としてアルカリ金属化合物)とをケイ酸質の担体に保持させたもので,助触媒の量はK2SO4の場合

V2O5:K2SO4 = 1:1~3(モル比)
で,全組成はV2O57%,K2O5~14%,SiO260~80% 程度である.触媒量は9~20 m3/100% H2SO4100 t d-1.転化率96~98%,ガス空間速度は触媒1 m3 当たり625~720 m3 h-1 が普通である.触媒の耐用年数は10年以上で,耐熱,耐毒性が大きい.接触式の行程では,硫化鉱ばい焼からダストコットレルまでは硝酸式と同じであるが,触媒活性を守るため,さらにガスの湿式精製を厳密に行う.製造方式として納メ式,旧モンサント式,ルルギ式,ケミコ式,チーレン式などがあり,触媒の大きさ,所要量,充填法,熱交換器など装置全般にわたり似ている点が多いが,転化器の構造にそれぞれ特色がある.[別用語参照]硝酸式硫酸製造法

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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