推薦入学制度(読み)すいせんにゅうがくせいど

日本大百科全書(ニッポニカ) 「推薦入学制度」の意味・わかりやすい解説

推薦入学制度
すいせんにゅうがくせいど

高等学校や大学等の学校における入学者選抜方式の一つで、出身学校長の推薦に基づき、学力検査を免除し調査書をおもな資料として、入学資格の合否を判定する制度をいう。今日ではとくに大学入試制度改善のための一方法として注目されている。大学では、高等学校長からの推薦書および高校在学中の学習状況や人物などを示す調査書等の書類について審査するほかに、面接を行ったり小論文を課すことが多い。また、簡単な学科試験を加えたり、実技テストを行う場合もある。高校側からの推薦を受け入れるのに、あらかじめ対象校を限定するいわゆる「指定校制」と、あらゆる高校からの推薦を認める「公開制」とがある。大学の入学定員に対する推薦入学者数の比率、あるいは高校側に求める推薦者数などは、大学によってさまざまである。

 わが国における推薦入学制度は、古くは1910年(明治43)以降の旧制高等学校への入学においてみられる。第二次世界大戦後の新学制では不明確であったが、私立学校の一部では、すでに独自の教育目的から、あるいは経営上の必要から推薦入学制度を取り入れていた。その後、大学受験競争の激化に伴って大学入学制度の改善が検討されるようになり、1967年度(昭和42)から文部省の「大学入学者選抜実施要項」によって公認されるに至った。高等学校ではすでに私立高校を中心に採用されていたが、近年では公立高校等においても入学者選抜制度の改善とともに、推薦入学制度の導入も広く奨励されている。推薦入学制度は、受験競争の弊害を排除し、いわゆる一般入試の画一主義や一発主義を緩和するとともに、できるだけ特異な才能をもつ人物を選抜するための方法として取り上げられている。しかし実際には、推薦者側と入学者選抜側との間における信頼関係の低さ、学校間の現実的な不均衡、入学者選抜側の書類選考以後における選抜方法の適否、さらには入学希望者側における推薦入学対策の発生など多くの問題点が含まれている。

[真野宮雄]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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