掻合(読み)かきあわせる

精選版 日本国語大辞典 「掻合」の意味・読み・例文・類語

かき‐あわ・せる ‥あはせる【掻合】

〘他サ下一〙 かきあは・す 〘他サ下二〙
① 別々のものをまぜて一つにする。まぜあわす。
※南海寄帰内法伝平安後期点(1050頃)一「手をもて攪合(カキアハセ)て和(か)てて諸の助味を投(い)る」
② 離れているものを寄せて合わせる。
平家(13C前)三「少将袖かきあはせ」
③ 琴、琵琶などを合奏する。
※宇津保(970‐999頃)内侍督「宰相中将御簾のもとにて、しゃうの琴つかうまつりつ。あてこそは琵琶をなむ、少しかきあはせらるるなりつる」
④ 琴、琵琶などで、弦などの調子を整えたあとで、試みに簡単な一定旋律を奏する。
源氏(1001‐14頃)澪標「箏の御琴ひきよせて、かきあはせすさび給ひて」

かき‐あ・う ‥あふ【掻合】

[1] 〘他ハ四〙 とり集める。たくさん集める。
落窪(10C後)一「二人の婿の装束(さうずく)、いささかなるひまなくかきあひ縫はせ給へば」
[2] 〘自ハ四〙 (「かき」は接頭語) 調和する。
中務内侍(1292頃か)弘安一〇年一二月五日「人長拍子に合せたる足踏み和琴の音すごく、やうやう明行空の光りかきあひて、言ひつくすべうもなくおもしろし」

かき‐あわせ ‥あはせ【掻合】

〘名〙
① 琴、琵琶などで、弦の調子を整えたあと、試みに弾いてみること。また、そのときの簡単なふし
※源氏(1001‐14頃)紅葉賀「かきあはせばかり弾きて、さしやり給へれば、えゑじはてず、いと美しう弾き給ふ」
舞楽で、舞いはじめるときの手。左右の手を前で合わせ、右足摺に従い、両手右下より上へ開いて前で合わせ、次に左足摺に従って、また両手を左下より上へ開いて前で合わせる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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