揖斐郡(読み)いびぐん

日本歴史地名大系 「揖斐郡」の解説

揖斐郡
いびぐん

面積:八七五・四九平方キロ
池田いけだ町・揖斐川いびがわ町・春日かすが村・久瀬くぜ村・坂内さかうち村・藤橋ふじはし村・谷汲たにぐみ村・大野おおの

明治三〇年(一八九七)揖斐川右岸の池田郡と同左岸の大野郡の大半部が合併して成立した郡。東部は本巣もとす根尾ねお村・本巣町・糸貫いとぬき町・真正しんせい町・巣南すなみ町、南部は安八あんぱち神戸ごうど町、大垣市、不破郡垂井たるい町・関ヶ原町、西部は滋賀県坂田さかた伊吹いぶき町・東浅井ひがしあざい郡浅井町、同県伊香いか木之本きのもと町・余呉よご町、北部は福井県南条なんじよう今庄いまじよう町・今立いまだて郡池田町・大野市と接する。北部および西部は伊吹山地が占め、南部はその谷々の水を集めて南流する揖斐川の扇状地帯で、濃尾平野の北西部をなす。北部の能郷白のうごはく(一六一七・三メートル)、西部の金糞かなくそ(一三一七メートル)をはじめ一〇〇〇メートル級の山々がそびえ、また南西部には古くから山岳信仰の対象であった伊吹山がある。郡域の一部は揖斐関いびせき原養老はらようろう国定公園・伊吹県立自然公園・揖斐県立自然公園なっている。岐阜市から滋賀県木之本町に通じる国道三〇三号が郡南部の大野町・揖斐川町を経て久瀬・藤橋・坂内三村を貫く幹線道路になっている。また南端部に位置する池田町域には国道四一七号が通り、郡内を北進し、福井県に通じている。鉄道は岐阜市と揖斐川町を結ぶ名鉄揖斐線、大垣市と同町を結ぶ近鉄揖斐線のほか、谷汲村東部を通る第三セクター樽見鉄道がある。

〔原始・古代〕

縄文遺跡としては池田町のだん舟子ふなご西墳之越にしつかのこし・墳之越などの各遺跡をはじめ、谷汲村の末福すえさき遺跡、揖斐川町の瑞岩寺ずいがんじ遺跡、旧徳山とくやま村のつか遺跡などが知られる。末福遺跡からは中・晩期の縄文式土器とともに丸木舟が発見されている。弥生遺跡は池田・揖斐川・大野・谷汲の四町村域に十数ヵ所分布し、谷汲村の上長瀬かみながせ遺跡からは中期前半の貝田町式に属する条痕文深鉢形土器が出土している。郡内の古墳は池田山東麓一帯、揖斐川と根尾川に挟まれた大野町北部山麓から同町の揖斐川東部丘陵に集中して分布、古墳群を形成している。池田山山麓では南部の池田町片山かたやま地区から同町八幡やわた地区にかけて四〇基、北部の同町願成寺がんじようじ地区から藤代ふじしろ地区にかけては二〇〇基余の古墳が築造されている。同山麓中唯一の前方後円墳である中八幡なかはちまん古墳は中期古墳とみられ、鉄製馬具が出土している。大野町北部山麓には古墳群があり、同町南部には三基の前方後円墳を中心とする上磯かみいそ古墳群がある。野古墳群からは中国製の金四霊三端鏡や馬具が発見されている。

当郡は明治三〇年まで池田・大野両郡として推移するが、大野郡は「続日本紀」大宝二年(七〇二)七月一〇日条、池田郡は同書嘉祥二年(八四九)七月二二日条をそれぞれ初見とする。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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