播陽万宝智恵袋(読み)ばんようばんぽうちえぶくろ

日本歴史地名大系 「播陽万宝智恵袋」の解説

播陽万宝智恵袋(智恵袋)
ばんようばんぽうちえぶくろ

五〇巻五一冊 天川友親編

成立 宝暦一〇年

原本 神戸大学附属図書館人間科学系図書室

解説 飾東郡御着村の天川友親(号喬木堂)が長年にわたり播磨国内各地を探訪して筆写した地誌・寺社縁起・物語など約一三〇点の文献を全五一冊に収めた編纂書。内容構成の概要は、序巻に全編目録と友親が最後に筆写した「播陽事始経歴考」を収め、本編一―二巻神社総記、三―五巻個々の神社縁起および神社史、六巻寺院総記、七―一一巻個々の寺院縁起および寺院史、一二―一四巻名所・古所総記、一五―一八巻各地の名所・古所、一九巻名所・古所補遺、二〇―二七巻古歌集、二八巻巡礼詠歌、二九巻名所・古所追記、三〇巻源氏物語(明石巻)、三一巻詩歌、三二―三六巻地誌(龍野志・揖保郡志・赤穂郡志・宍粟郡志)、三七―四〇巻物語・昔話、四一―四四巻随筆・聞書、四五―四六巻軍記物、四七―四八巻伝説、四九―五〇巻謡曲、以上の各分野に関する諸文献を収録。収録文献の成立年代は三〇巻の源氏物語を除き、元亀―天正期から近世中期の宝暦一〇年に至る間のもので、播磨の歴史および地誌に関する編纂物としては貴重なものである。ただし原典自体にかなり杜撰なものがあるほか、筆写の際の誤写などもあって誤字脱字が多いといった難点もある。活字本刊行については名所・旧跡関係の一二―一五巻・一八―一九巻・二二―二三巻・二九巻・四四巻の計一〇巻分を収めた活字本が大正七年に出版されたが、全巻を収録した活字本の出版は昭和六三年に実現した。

活字本 大正七年「校訂播陽万宝智恵袋」名跡之部、昭和六三年「播陽万宝智恵袋」上・下巻

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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