放送用電波(読み)ほうそうようでんぱ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「放送用電波」の意味・わかりやすい解説

放送用電波
ほうそうようでんぱ

電波は世界各国で多様な目的に使用されている。公衆通信、警察、海上保安、船舶および航空機の通信、アマチュア無線、鉄道、道路管理、防災行政、タクシーなどから気象衛星通信衛星まで電波利用の領域はきわめて広範にわたる。放送はそうしたさまざまの電波利用の一つの領域である。他の電波利用と同様に放送用電波の使用については、電波は有限な資源であり、また無秩序な使用が混信妨害を生じるところから、国際的な細かい取決め(国際電気通信条約および同附属無線通信規則)が定められ、その枠内で各国の放送が行われている。すなわち、電波は国際的な規律のもとで各種業務別に周波数が分配されており、各国はこの国際分配の放送業務用の分配部分について、国内事情を考慮した周波数の割当て原則を定め、個々の放送用周波数分配を行っている。それぞれ免許を受けた放送局の特定の周波数は、そのような国際的・国内的規律の背景をもつものである。日本では電波法や電波法施行規則などによって、総務省(旧郵政省)が周波数割当てを行っている。

後藤和彦

『片岡俊夫著『放送概論――制度の背景を探る』(1990・日本放送出版協会)』『郵政省放送行政局放送政策課編『放送六法』平成5年版(1993・ぎょうせい)』『竹本徳子ほか編『ネットワーク関連法規集』(1996・アイテック)』『片岡俊夫著『新・放送概論――デジタル時代の制度をさぐる』(2001・日本放送出版協会)』『電気通信振興会編著・刊『電波法令抄録』平成14年版(2002)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android