散供（読み）さんぐ

精選版 日本国語大辞典

さん‐ぐ【散供】

〘名〙

① 米、金銭などをまき散らして、神仏に供えること。また、そのもの。特に米についていい、うちまき・はなしねと同義に用いることが多い。散米(さんまい)。

※江家次第（1111頃）六「神祇官人〈略〉次南殿御膳宿、散供畢挿_二土銭_一 以_レ糸貫_レ之」

② 米、金銭などをまき散らして、悪、けがれ、災厄等を祓い、善、浄、吉祥等をあがなおうとすること。また、そのもの。散米。うちまき。はなしね。

※小右記‐寛和元年（985）五月七日「戌時帰_二小野宮_一、以_二陰陽允奉平_一令_二反閉_一、先是於_二小野宮_一令_二散供_一」

出典　精選版 日本国語大辞典

デジタル大辞泉

さん‐ぐ【散供】

⇒打ち撒まき1

出典　小学館

世界大百科事典（旧版）内の散供の言及

【米】より

…熱帯の植物である稲は，日本列島以外から渡来してきたために，天孫降臨神話とは別に，弘法大師のような貴い僧が持ち帰ったとか，ツルが運んできたとかの伝説が各地に伝えられているのも，米の神聖性とともに外来の作物であることを反映している。打蒔（うちまき），散米（さんまい）とか散供（さんぐ）といって，神や仏の前などで米をまく習俗があるが，これは米の霊的な力によって邪悪な霊を追い払い，そこを聖域にしようとする意図をもっている。　米が霊的な力をもつという観念は，人間の一生の儀式にも見られる。…

【散米】より

…神や仏に参ったとき供える米，または祓（はらい）や清めの目的でまき散らす米。サンゴ(散供)，オサゴ(御散供)，ウチマキ(打撒)などといい，白紙に米を包んで一方をひねったものをオヒネリともいうから，もとは神への供え物である米を意味したが，米の霊力によって悪魔や悪霊を祓うためにまき散らすこととなった。たとえば，《延喜式》記載の大殿祭（おおとのほがい）の祝詞の注に，出産にあたって産屋に米をまき散らし，米の霊力によって産屋を清めたことがみえている。…

※「散供」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典｜株式会社平凡社「世界大百科事典（旧版）」