日本大百科全書(ニッポニカ) 「斑点米」の意味・わかりやすい解説
斑点米
はんてんまい
玄米にカメムシ類の加害によって、褐色から黒褐色の斑点があるものをいう。玄米に褐色の斑点ができる原因には、カメムシ類の加害によるほか、イネシンガレセンチュウや細菌、糸状菌の寄生によってもおこる。したがって、原因がまだ明らかにされていなかったころは、これらを含めて着色した米を総称して斑点米とよんだこともあるが、現在ではカメムシ類の加害によって生じた着色粒だけを斑点米という。斑点米はイネの出穂(しゅっすい)後、乳熟期から糊熟(こじゅく)期にかけてカメムシが吸汁加害し、吸汁した部分を中心に着色するため生ずる。稲を加害するカメムシは数種が知られているが、おもなものは、ホソハリカメムシ、クモヘリカメムシ、ミナミアオカメムシなどである。斑点米は品質が低下し商品価値が下がるので、近年、とくに重要視されることが多い。出穂後、「スミチオン」などの殺虫剤を散布して防ぐ。
[梶原敏宏]