日本大百科全書(ニッポニカ) 「斜交層理」の意味・わかりやすい解説
斜交層理
しゃこうそうり
一般成層面と斜交して形成された層理または成層状態。偽層(ぎそう)ともよばれる。斜交する層理の単層の厚さが1センチメートル以上のものを斜交層理またはクロスベッドcross-bed、1センチメートル以下のものを斜交葉理またはクロスラミナcross-laminaとよぶ。斜交層理は主として砂岩層の内部にもっとも多くみられ、水流や風によって運ばれた砂粒が、移動方向に傾斜した面に沿って並び、次々に形成される。上下を一般成層面で限られた一連の斜交した層(前面層)を、斜層のユニットunitとよぶ。
斜交層理は形態的特徴によって板状斜交層理と溝状斜交層理(みぞじょうしゃこうそうり)とに分けられる。板状のものの多くは前面層が下に凸であり、ユニットの上部ではその上面に高角度で切られ、下部ではその下面に徐々に収斂(しゅうれん)する。溝状のものは、溝の軸のプランジplunge(褶曲(しゅうきょく)軸などの沈下)する方向が水流の向きを示す。このような特徴をもとにして、地層の上下判定を行ったり、地質時代の海底付近における海流の方向、すなわち古流向を求めたりすることができる。斜交層理は風成堆積(たいせき)物やデルタなどの浅海堆積物中に多いが、深い水底で堆積した乱泥流堆積物にもみられる。
[村田明広]