改訂新版 世界大百科事典 「新漢人」の意味・わかりやすい解説
新漢人 (いまきのあやひと)
古代帰化人の中の一部の称。〈いまき〉は新参の意で今来とも書く。古代に中国系と称して渡来した人々は一般に漢人(あやひと)と呼ばれたが,そのほとんどが朝鮮半島に居住していたものだった。その中で5世紀後半のころまでのものはおもに漢・魏を源流とする古い楽浪文化を伝え,大陸の学芸・技術をもって朝廷に仕える各種の専門職の小氏となり,その多くは雄略朝のころに東漢(やまとのあや)氏を伴造(とものみやつこ)とする一つの指揮系統の下に組織化された。
これに対してその後に渡来した漢人たちは,新しい南北朝文化を伝えたためか,とくに新漢人と呼ばれ,その多くはやはり東漢氏の指揮下に編入されていったらしい。彼らはその新知識・技術をもって6~7世紀の朝廷で大いに活躍したが,その代表的なものには,初期仏教史に名高い鞍作氏の司馬達等(しばたつと)や鞍作止利,遣隋留学生で帰国後に大化改新に参画した高向玄理(たかむくのくろまろ),新漢人旻(みん)などがある。
→帰化人
執筆者:関 晃
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報