新連邦条約(読み)しんれんぽうじょうやく

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「新連邦条約」の意味・わかりやすい解説

新連邦条約
しんれんぽうじょうやく

ソビエト連邦の中央政府と各構成共和国との関係を規定した条約。 1922年の連邦結成条約に次ぐものとして草案がつくられたが,ソ連の解体により調印されることなく消滅した。 1991年3月6日連邦評議会で「主権共和国連邦条約草案」として基本的に承認された。内容は共和国の主権を大幅に認め,共和国の平等,自発的加盟,民主主義,人道主義法治主義などがうたわれており,社会主義という語は入っていない。3月 17日連邦制の維持を問う全ソ国民投票が行なわれ,投票者の 76%が連邦制に賛成したが,バルト3国,モルドバグルジアアルメニアの6ヵ国は投票をボイコットした。残りの9ヵ国はさらに検討を重ね,7月 23日「主権国家連邦条約」として合意に達した。しかし調印開始が予定されていた前日の8月 19日に保守派のクーデター (→8月クーデター ) が発生,これが3日で失敗に終わったのち,ソ連の解体など事態は急変した。このため新連邦条約は全面的に改められることになり,11月 25日,上記9ヵ国のうちさらにウクライナ,アゼルバイジャンを除く7ヵ国によって新たな条約草案がつくられた。しかし,12月1日ウクライナが国民投票で独立を決定したため,連邦維持を断念したロシア,ウクライナ,ベラルーシの3ヵ国は,12月8日独立国家共同体 CIS創設協定に調印した。これにより,条約は消滅することになった。

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