ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「モルドバ」の意味・わかりやすい解説
モルドバ
Moldova
面積 3万3843km2(沿ドニエストル共和国 4163km2を含む)。
人口 295万4000(2021推計)。
首都 キシナウ。
ヨーロッパ東部の内陸国。西はルーマニアと,他の三方はウクライナと国境を接する。国土は東のドネストル川と西のプルト川にほぼ挟まれて位置し,大半は丘陵性の平原からなる。中央部に最も高い丘陵(最高点 429m)がある。気候は比較的温暖で,平均気温は 1月-5~-3℃,7月 20~23℃。年降水量は北部で 560mm,南部で 300~400mmである。北部が森林ステップ地帯,南部はステップ地帯に属し,森林面積は少ない。国土の 3分の2がチェルノゼムからなり,肥沃である。住民の約半数がモルドバ人,ほかにはウクライナ人,ロシア人などがいる。またガガウズ人(トルコ系)もおよそ 4%を占める。国土の大半は歴史的にベッサラビアと呼ばれる地域で,その領有をめぐり,古来多くの変遷をみた。1918年ベッサラビアがルーマニア領となったのち,ソビエト連邦領として残った小地域に 1924年モルダビア自治ソビエト社会主義共和国が成立。これに 1940年返還されたベッサラビアを加えてモルダビア=ソビエト社会主義共和国が形成された。1991年5月現国名に改め,8月独立して 12月に独立国家共同体 CISに参加。1992年国際連合加盟。ガガウズ人,ロシア人の民族問題を抱えている。特にロシア人が多数を占める東部ドネストル地域(→沿ドニエストル共和国)の 1990年の分離独立宣言は,内戦に発展した。農業が盛んで,果樹栽培地帯になっている。また,工芸作物はテンサイ,タバコ,香油採取作物の栽培に特化している。ブドウ,砂糖,ワイン,果実缶詰,油脂を特産。主産業は工業で,食品加工が中心であるが,機械(トラクタ,冷蔵庫),繊維,化学(染料,ゴム製品,医薬品)などの工業がキシナウ,チラスポリ,ベリツイなどで発展している。主要交通機関はキシナウ,ベリツイを中心に放射状に延びる鉄道,ハイウェーで,ドネストル川,プルト川では水運が行なわれる。
モルドバ
Moldova
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