国民投票(読み)コクミントウヒョウ(その他表記)referendum

翻訳|referendum

デジタル大辞泉 「国民投票」の意味・読み・例文・類語

こくみん‐とうひょう〔‐トウヘウ〕【国民投票】

議員その他の公務員選挙以外の国政上重要な事項について国民が行う投票日本国憲法改正の手続きでは必要とされている。
レファレンダム

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精選版 日本国語大辞典 「国民投票」の意味・読み・例文・類語

こくみん‐とうひょう‥トウヘウ【国民投票】

  1. 〘 名詞 〙 議員その他の公務員の選挙を除き、政務に関する重要な事柄について国民一般が行なう投票。直接民主制の一つ。日本の憲法では、憲法改正の場合に行なうとしている。人民投票。レファレンダム。
    1. [初出の実例]「国民投票。憲法の修正。坦々とした大道なのである」(出典:ブウランジェ将軍の悲劇(1935‐36)〈大仏次郎〉ナポレオンの夢)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「国民投票」の意味・わかりやすい解説

国民投票
こくみんとうひょう
referendum

直接民主制の一形態。提案された国政に関する重要事項(たとえば憲法改正)について、議会の議決のみによって確定しないで、さらに、選挙権を有する国民の一般投票によって、最終的な賛否を問う制度である。すなわち、国民が、議員その他公務員の選挙以外の重要事項の決定に直接その意思を表明し、可否を決定することをいう。起源は遠く古代ギリシアにさかのぼるが、近世における国民投票の発祥地はスイスである。憲法の国民投票による決定は、1780年アメリカマサチューセッツで行われたものが世界最初であり、次は1784年のニュー・ハンプシャーである。しかし、憲法のみならず、一般の立法にも及んで頻繁にこれを実行して、あたかも自国特有の制度のように発展せしめたのは、スイスである。レファレンダムの名称もまたスイスからおこったのである。この意味において国民投票の真の本国はスイスであるといってよい。レファレンダムの名称は16世紀から伝わったもので、その起源は15、16世紀ころの諸州の旧慣にある。諸州の村落の代表者は、法を決定する前にいちおう村落の住民の意見を聞き(ad audiendum)、その訓令を受ける(ad referendum)必要があった。現在、国民投票によって法律その他を決定する方法をreferendumというのは、このad referendumということばから出たのである。

 国民投票が必要とされる理由は、議会政治に対する国民の極度の不信の結果である。議会は「国民の縮図である」べきにもかかわらず、民意は議会に反映していない。国民が「自由なのは議員の選挙のときだけにすぎない。議員の選挙が済んでしまえば、彼等はとるにも足らぬ奴隷になってしまう」(ルソー)。この結果として、議会政治への不信が高まってゆくのである。ここに、国民投票によって、この不信を是正しようとする声があがる最大の理由がある。

 国民投票には任意的国民投票と強制的国民投票がある。前者は、議会の議決した法案を国民投票に付するか否かは、他の国家機関(たとえば内閣)の任意によらしめる。後者は、かならず国民投票に付するのである。国民投票は議会政治への国民的不満を平穏に治める長所はあるが、国民投票に付した事項の修正は不可能である。また棄権者が多くなるなどの短所がある。スイスでは連邦憲法の改正(第123条)に、フランスも憲法改正(第89条)に、日本国憲法も憲法改正(第96条)に、国民投票を採用している。アメリカでも多数の州で採用されている。

[伊藤 勲]

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百科事典マイペディア 「国民投票」の意味・わかりやすい解説

国民投票【こくみんとうひょう】

レファレンダムreferendumの訳。国民の直接投票で重要な議案を決定する方法(議員その他の公務員の選挙を除く)。直接民主制の一手段である。狭義では,議会の議決した憲法・法律等の可否を決すること(国民表決)をいい,日本の現行憲法では憲法改正の際の国民投票,地方自治特別法の住民投票がそれである。広義ではイニシアティブリコールをも含めていう。憲法改正の国民投票については,日本国憲法第96条にその規定があるが,具体的な手続きが定められていなかったため,憲法改正手続きを定めた国民投票法が2007年5月成立した。→直接請求
→関連項目国民投票法スイス投票

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改訂新版 世界大百科事典 「国民投票」の意味・わかりやすい解説

国民投票 (こくみんとうひょう)

議員その他の公務員の選挙以外の事項について国民がおこなう投票。直接民主制の手続の一環として法制度上に定められたレファレンダムイニシアティブなどをいうが,ときには,超法規的な政治手続としておこなわれるプレビシットの人民投票まで含めて用いられることもある。現在日本の国民投票の制度としては,憲法改正のための国民投票(憲法96条1項)と地方自治特別法制定のための住民投票憲法95条)の二つしかない。
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知恵蔵 「国民投票」の解説

国民投票

国民審査」のページをご覧ください。


国民投票

代議制民主主義」のページをご覧ください。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「国民投票」の解説

国民投票(こくみんとうひょう)

レファレンダム

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「国民投票」の意味・わかりやすい解説

国民投票
こくみんとうひょう

人民投票」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の国民投票の言及

【オーストリア】より

…同時にナチス分子も活動を強め,34年7月ドルフスもまたナチスに暗殺された。ドルフスの後継者シュシュニックKurt Schuschnigg(1897‐ )はオーストリアの独立を確保しようとしてヒトラーと会い,またそれを3月13日の国民投票に付そうとしたが,その先手を打って38年3月11日ナチスがオーストリアに進駐した。こうしてオーストリアはドイツ帝国に〈併合(アンシュルスAnschluss)〉された。…

【住民投票】より

…地方自治体ないし一定の地域住民が,特定の意思決定や政策の選択のために行う直接投票をいう。日本の場合,法制度上に根拠を持つものには,憲法95条,地方自治法76条,80条,82条による住民投票がある。憲法95条は,一つの地方自治体にのみ適用される特別法の制定に当たっては,当該地方自治体の住民投票において過半数の同意を得なくては,国会はこれを制定できないと定めている。後者の地方自治法の規定は,それぞれ議会の解散,議員の解職,長の解職に関する直接請求が成立した際に(有権者の3分の1以上の連署),住民の審判を仰ぐための投票である。…

【人民投票】より

国民投票と同義に使われることもあるが,とくにプレビシットによる国民の投票のことを指すことが多い。この場合には,人民投票の概念は国民投票のそれと多少異なる。…

※「国民投票」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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