施設土壌(読み)しせつどじょう

改訂新版 世界大百科事典 「施設土壌」の意味・わかりやすい解説

施設土壌 (しせつどじょう)

ビニルハウスやガラス温室など施設内で作物を栽培するとき用いる土壌をいう。近年,日本では野菜の促成抑制栽培のめざましい普及により,施設栽培の面積は急増している。施設栽培では年間の灌水量が年間降水量の20~25%にしかあたらないといわれ,そのため肥料成分の土壌からの流亡はほとんど起こらず,多肥栽培が続くと土壌中に肥料成分が集積し,作物が葉縁から枯れはじめる塩類濃度障害がでる。また,施設内は外気と自由なガス交換が行われないため,酸性土壌では亜硝酸揮散,土壌反応の高い土壌ではアンモニアガスの揮散により,ガス障害が作物にでることもある。施設栽培で連作障害を回避するには,多量灌水による集積塩類の除去,深耕土壌消毒などの手段がとられる。最近では礫耕(れきこう)栽培が施設栽培の新しい技術として登場した。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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