抑制栽培(読み)ヨクセイサイバイ

デジタル大辞泉 「抑制栽培」の意味・読み・例文・類語

よくせい‐さいばい【抑制栽培】

自然な状態よりも生長収穫時期を遅らせる栽培法。→促成栽培

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精選版 日本国語大辞典 「抑制栽培」の意味・読み・例文・類語

よくせい‐さいばい【抑制栽培】

  1. 〘 名詞 〙 人工的な低温・乾燥などで農作物発芽や生長を適宜に抑制し収穫時期を遅らせる栽培法。促成栽培に対していう。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「抑制栽培」の意味・わかりやすい解説

抑制栽培
よくせいさいばい

作物正常の収穫・出荷時期よりも遅く収穫・出荷するための栽培法をいう。とくに野菜・花など園芸で行われ、促成栽培とともにその作物の供給期間を長くすることに役だてられている。もっとも普通にみられるものは、山間高冷地での夏野菜とくにトマトキュウリなど果菜類の抑制栽培である。平坦(へいたん)地では真夏は暑すぎて秋口からの出荷は品薄になる。しかし高冷地では真夏によく生育し、秋口から出荷されるので、市場の需要も強く、高価に販売される。また秋野菜が出荷薄となる冬に向けて、西日本暖地で秋野菜の抑制栽培が行われる。秋播(ま)きキュウリを初冬からはビニルハウスで覆って12~1月に出荷する、キャベツを夏秋播きして冬期も温暖な露地で過ごさせて3~4月の端境期に出荷するなどである。花(キクなど)では電照栽培により花芽のつきを遅らせ、秋からはハウス保温して暮れから正月の需要の多いときに出荷するなどの特殊なくふうも行われている。また抑制栽培は、促成・普通栽培と組み合わせて、開花期の異なる植物を交配する育種にも利用されている。

[星川清親]

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改訂新版 世界大百科事典 「抑制栽培」の意味・わかりやすい解説

抑制栽培 (よくせいさいばい)

野菜などを普通よりも遅く生産するための栽培法で,促成栽培との対照で用いられる。需要は一年中あるが,出荷が短期間に集中し,季節はずれには高値となるトマト,ナス,キュウリなどの果菜類で行われる。抑制栽培では,栽培地の温度条件の違いを利用したり,生育後期にハウスなどの保温施設を利用して収穫時期をずらすのが普通である。例えばトマトの場合,真夏の高温下では生育や結実が不良となり,出荷は6~7月に集中するが,標高400~700mの冷涼地で栽培を行って8~10月に出荷する。また,10~12月に出荷するためには,太平洋沿岸の温暖な地帯で栽培し,11月中旬以降はハウスなどで保温する方法がとられる。
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百科事典マイペディア 「抑制栽培」の意味・わかりやすい解説

抑制栽培【よくせいさいばい】

普通よりおそく種をまき,作物を普通栽培のものよりおそく生産する栽培法。おもに野菜類,特にトマト,キュウリ,ナス,ピーマンなどで行われる。高冷地などで自然の立地条件を利用して栽培する場合と,温室やビニルハウスなどの施設を利用する場合とがある。促成栽培の反対。
→関連項目近郊農業

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「抑制栽培」の意味・わかりやすい解説

抑制栽培
よくせいさいばい
controlled culture

晩期出荷を目的として,開花または収穫期を遅らせる栽培技術。一般に野菜,花卉類に多い。大都市近郊では露地抑制栽培が多いが,温暖な海岸地方では温室による抑制栽培が発達。淡路島,渥美半島の電照菊,広島県の果樹,切り花,新潟,富山,京都のチューリップの輸出球根や,房総半島の菊などが有名。八ヶ岳山麓,富士見高原などの高冷地では,夏の冷涼気候を利用してトマト,きゅうりなどを栽培する。

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