土壌消毒(読み)どじょうしょうどく(その他表記)soil disinfection

改訂新版 世界大百科事典 「土壌消毒」の意味・わかりやすい解説

土壌消毒 (どじょうしょうどく)
soil disinfection

土壌中に残って植物病害を起こす微生物を撲滅する目的で行われる物理的,化学的消毒のこと。対象となる病害は,センチュウによる根こぶ病,細菌による青枯病,軟腐病,菌類によって起こる立枯病,根腐病,萎凋(いちよう)病,白絹病などである。土壌消毒に用いられる薬剤には,クロルピクリン,臭化メチル,D-D剤などがある。クロルピクリンは土が湿っているときに効きめがよく,乾燥しすぎてもまた逆に湿りすぎてもよくない。臭化メチルはやや過湿のほうがよいとされる。土壌消毒(殺菌)剤は植物の発芽障害を起こしたり,根の生育を妨げるおそれがあるので,作付け前に処理し,十分ガス抜きを行ってから作付けをする必要がある。クロルピクリンでは普通,注入後2週間してからよく切り返し,5~7日後,畑を使う。焼土,熱蒸気消毒法は,苗床,ハウスなどの土を焼いたり,高温殺菌したり,高熱蒸気を通したりする方法で,薬剤を用いるより徹底的に殺菌することが可能である。現在は蒸気消毒がよく用いられる。ボイラーから出たパイプを土に挿し込み,高圧をかけて蒸気を噴出させて土壌消毒する。太陽熱利用の方法は近年考案されたもので,ハウスの土壌に用いられる。土壌を湛水たんすい)状態にし,ポリ塩化ビニルで被覆して放置すると,夏の強力な太陽熱によって地表下10cmくらいは40~45℃が2~3週間持続する。この積算温度によって菌を殺す。植物病原菌は土壌中の一般微生物よりも低温で死ぬことが多いので,太陽熱殺菌では非病原菌生態をあまり乱すことなく病原菌だけを殺すことができる。土壌消毒の効果で問題になるのは,いったん無菌になった土壌は病原菌に対する拮抗菌が失われるため,逆に再汚染が速い傾向にあることだが,比較的低温積算による殺菌に期待する太陽熱利用法は,この点で他の方法より優れているといえる。
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百科事典マイペディア 「土壌消毒」の意味・わかりやすい解説

土壌消毒【どじょうしょうどく】

植物に有害な土壌中の病原微生物を撲滅するために行われる消毒。焼土,蒸気消毒,電熱消毒,火炎放射消毒など熱による方法と,クロルピクリン薫蒸剤などの薬剤による方法とがある。
→関連項目土壌伝染病

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