礫耕(読み)れきこう(その他表記)gravel culture

改訂新版 世界大百科事典 「礫耕」の意味・わかりやすい解説

礫耕 (れきこう)
gravel culture

土壌の代りに礫に根を張らせ,生育に必要な無機養分を水に溶かした形で与えて植物を栽培する方法で,水耕の一方式である。農耕不能な場所や連作によって土壌伝染性の病害がまんえんしてしまったハウスなどでは,礫耕を導入して野菜の栽培を行うことがある。礫耕の施設はコンクリート製で内側にアスファルトを塗るか,木枠にプラスチックシートを張って水もれしないようにしたベッドと,無機養分を含む水溶液(培養液)をたくわえるタンクからできている。ベッド内にはアズキまたはダイズ粒大の礫を詰め,作物を定植して,1日数回ポンプでタンクから揚水した培養液を注ぐ。ベッドの底には排水管を設け,礫の間に保持されなかった培養液をタンクに戻す。作物の蒸散やベッド面からの蒸発によって液量が減少するので,毎日タンクに水を補給して液量を一定に保つ必要がある。また作物によって吸収された養分もときどき補給しなければならない。礫耕では礫の間に空気が保持されるので,根を直接培養液に浸漬しんし)する方式のように,培養液中の酸素濃度を高めるくふうをしなくてもよい。このため初期の水耕栽培では礫耕が多かった。しかし一作が終わった後,礫の中に残った根を完全に除去しないで,ホルマリン程度の薬剤で消毒しただけでは病害が発生するため,近年では根を直接培養液に浸漬する水耕方式のほうが一般的になっている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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