日光山志(読み)につこうさんし

日本歴史地名大系 「日光山志」の解説

日光山志
につこうさんし

五巻 植田孟縉著

成立 文政八年序 天保八年刊

写本 国会図書館など

解説 八王子千人同心植田孟縉が日光山在勤中の余暇名勝を探訪し、古記を探って著した日光山の地誌。孟縉は八王子同心頭原半左衛門組に属した同心組頭で通称重兵衛、字は子夏、雲夢斎と号した。安永頃から一四回日光火之番の任についている。文政七年将軍徳川家斉の社参が発表されると、その便覧に備えて日光山志一〇巻を著し、林の序をつけて幕府に献じた。のちこれを五巻に改編して、江戸町奉行の許可を得て屋代弘賢の序を付し、江戸松山堂・金花堂から刊行。日光山の紹介に多大の貢献をした。版木は現在日光輪王寺に伝えられている。本書の内容は日光山の歴史・伝承・地勢産物・風俗等多岐にわたり、日光山巡覧探勝の順に従って、交友のあった渡辺崋山・高久靄崖・谷文晁らの挿絵をふんだんに使い、とくに花鳥には彩色刷りを施している。孟縉は地誌の碩学で、ほかに「日光名勝考」(一二巻)などを編纂している。

活字本日光市史」史料編中

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報