日本の思想(読み)にほんのしそう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「日本の思想」の意味・わかりやすい解説

日本の思想
にほんのしそう

日本の思想特色は,基調として宗教的色彩があること,さまざまな思想を受容しつつも内的矛盾なく統一,習合しているが,直観的で非体系的であることなどがあげられる。歴史的にみれば明治の近代化までの思想は,神道仏教儒教の間で展開し,西洋思想の移入もキリシタン時代や江戸時代の蘭学研究にみられたが,根をおろすにはいたらなかった。明治維新以後は日本の近代化の過程で,西洋文明の摂取が最大の課題であった。思想界では,明治中期まで,西欧の思想の紹介に終始した。西洋の諸思想の影響を受けながら,日本的思想が形成されていくのは,維新期における行過ぎた伝統破壊が反省されはじめた明治末から大正にかけてであった。第2次世界大戦の終りまでは,国策遂行のための思想統制,弾圧が続いたが,1945年の敗戦により,創造的な思想を形成すべく現在にいたっている。

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世界大百科事典(旧版)内の日本の思想の言及

【丸山真男】より

…1937年(昭和12)東京帝国大学法学部を卒業後,71年の辞職に至るまで同学部で教鞭をとる。その間,日本近世・近代の政治思想研究,現代政治思想研究,アメリカ政治学の導入などで業績をあげ,〈丸山学派〉と称される強力な研究者グループを育て,日本の思想史学・政治学を質量ともに飛躍させた。おもな著書に《日本政治思想史研究》(1952),《日本の思想》(1961),《現代政治の思想と行動》(1956‐57,増補版1964),《戦中と戦後の間》(1976),《“文明論之概略”を読む》全3冊(1986),《忠誠と反逆》(1992)がある。…

※「日本の思想」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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