日本国憲按(読み)にほんこっけんあん

山川 日本史小辞典 改訂新版 「日本国憲按」の解説

日本国憲按
にほんこっけんあん

明治前期,元老院で作成された憲法案。1876年(明治9)9月に天皇から国憲起草の命をうけ,元老院は80年7月頃までに3次にわたり草案を作成。プロイセンベルギーオランダ,イタリアの各憲法をとりいれている。皇帝は行政権を握り,官吏の任免陸海軍指揮宣戦講和・条約締結などの大権を有し,国会は元老院・代議士院の二院制で,国務大臣弾劾権など元老院の権限が大きい。内閣側の反対で採択されなかった。

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旺文社日本史事典 三訂版 「日本国憲按」の解説

日本国憲按
にほんこっけんあん

1876〜80年,元老院で3次にわたり作成された憲法草案で,日本最初の官撰憲法案
1876年,明治天皇が有栖川宮熾仁 (ありすがわのみやたるひと) に起案を命じ,議官柳原前光・中島信行らが作成。この官撰憲法草案は大権内閣主義・二院制で,絶大な議会の権限を認めたため,岩倉具視らの不満を買い,'80年の修正「国憲草案」も拒否され,廃案となった。

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世界大百科事典(旧版)内の日本国憲按の言及

【大日本帝国憲法】より

…法典の中心をなす近代憲法制定の動きは1874年の民撰議院設立建白書に触発されたが,政府は急速な憲法制定を望まず漸進主義をとった。翌年設立された元老院がこの方針の下で憲法案の作成にあたり,ベルギー憲法,プロイセン憲法に範をとった〈日本国憲按〉が78年にできたが,その立憲的傾向は岩倉具視などのいれるところではなかった。 他方,明治10年代に活発化した自由民権運動の中からは,イギリスやフランスの憲法に影響をうけたさまざまな憲法私案(私擬憲法)が発表されたが,もとより政府の採るところではなく,自由民権運動自体がやがて抑圧されていった。…

※「日本国憲按」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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