国指定史跡ガイド 「日根荘遺跡」の解説
ひねのしょういせき【日根荘遺跡】
大阪府泉佐野市大木・日根野に点在する荘園跡。かつて、和泉国日根荘と呼ばれた九条家領の荘園は、大阪湾に面する海岸部から和泉山脈の山間部までの広大な地域を占めていたという。鎌倉時代の「日根荘日根野村荒野開発絵図」などに記されている寺社、水路、溜め池などが現存する。広域に散在する中世の遺跡を総体として捉える視点から、1998年(平成10)に日根神社や十二谷池(じゅんだにいけ)など14地点が国の史跡に指定され、2005年(平成17)には、九条政基(くじょうまさもと)が滞在した長福寺跡が追加指定を受けた。中世の寺社、溜め池、水路などの歴史的遺産が、そのころからの景観とともに良好に残されている。九条家領の荘園は1234年(天福2・文暦1)、前関白・九条道家(みちいえ)の申請で成立し、約300年間存続した。南北朝期以降は戦乱が多発し、武士の押領もあって九条家の支配権は弱体化。室町中期には、実質的には和泉国守護の細川氏が支配し、16世紀中ごろには根来(ねごろ)寺の支配下になった。日根神社へは、JR阪和線日根野駅から南海バス「東上」下車、徒歩すぐ。