和泉山脈(読み)イズミサンミャク

デジタル大辞泉 「和泉山脈」の意味・読み・例文・類語

いずみ‐さんみゃく〔いづみ‐〕【和泉山脈】

大阪府和歌山県との境の山脈。最高峰岩湧いわわきで、標高897メートル。

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精選版 日本国語大辞典 「和泉山脈」の意味・読み・例文・類語

いずみ‐さんみゃくいづみ‥【和泉山脈】

  1. 大阪府と和歌山県の境、紀ノ川の北側にある山脈。白亜紀和泉砂岩から成る傾動地塊。最高峰は岩湧山(八九七メートル)。全長約五〇キロメートル。西走して紀淡海峡に至る。

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日本歴史地名大系 「和泉山脈」の解説

和泉山脈
いずみさんみやく

大阪府の南端に位置して和歌山県との境界をなし、東の紀見きみ(河内長野市と和歌山県橋本市の境)付近から西の紀淡海峡まで、東西方向に約五〇キロ連なる山脈。ほぼ旧和泉国の南を限るのでこの名がある。高度は東部の岩湧いわわき(八九七・七メートル)から葛城かつらぎ(八五八メートル)にかけてが最も高く(ここを葛城山脈ともよぶ)三峰みつみね(五七六・五メートル)四石よついし(三八四・四メートル)俎石まないたいし(四二〇メートル)高森たかもり(二八四・五メートル)と西へ向かうにつれて低下する。山地南斜面は南西日本を内帯と外帯に分つ中央構造線に沿う紀ノ川河谷へ断層崖をみせて急傾斜し、短小な谷しかみられないのに対して、北斜面は段階的に高度を減じ、いくつかの谷が発達して分水嶺近くまで延びている。西からあげると、ひがし川・おお川・山中やまなか川・金熊寺きんゆうじ川・犬鳴いぬなき(樫井川)近木こぎ川・牛滝うしたき川・父鬼ちちおに川・石川・天見あまみ川などである。北斜面の地形は、主脈と二つの前山に区分され、それぞれの間には内谷と外谷とよばれる縦谷がほぼ東西方向に通じている。泉南市の六尾むつお、泉佐野市の下大木しもおおぎ、貝塚市の秬谷きびたに大川おおかわ蕎原そぶら、岸和田市の塔原とのはら・牛滝、和泉市の父鬼・槙尾まきお山を連ねる通谷と、泉南郡熊取くまとり町の小谷おだに、貝塚市の木積こつみ、岸和田市の河合かわい内畑うちはた、和泉市若樫わかかし大畑おばたけなどを連ねる通谷とである。前山は主脈に比べて高度が低く、三〇〇メートル前後である。こうした主脈と前山から構成される地形の特色はその地質の相違に基づいており、主脈は砂岩・頁岩・泥岩などの和泉層群からなり、また前山は領家花崗岩・閃緑岩・泉南酸性岩からなる。


和泉山脈
いずみさんみやく

和歌山県と大阪府の境を東西に走り、ほぼ和泉国の南を限るので、この名がある。その東端は大阪府と奈良県の境にあたる金剛こんごう(もとは葛城山といい、標高一一一二・二メートル)で、ここから府県境を北に向かい二上にじよう山に達する山脈が葛城山(金剛山地)である。もとはこの両者を含めて葛城山脈ともいい、両山脈にはそれぞれ葛城山がある。和泉山脈は東から岩湧いわわき(八九七・七メートル)燈明とうみよう(八五七メートル)三国みくに(八八五・七メートル)・葛城山(八五八メートル)などが県境ないしその南北に並ぶ。西に向かって燈明ヶ岳(五五三メートル)札立ふだたて(三四九・三メートル)高森たかもり(二八四・五メートル)としだいに低くなり紀淡海峡となるが、海峡のともヶ島(沖ノ島・地ノ島)を経て、淡路島諭鶴羽ゆづるは山につながる。東西約五〇キロ、南北平均二五キロの山脈で分水線は南にかたより、南斜面は中央構造線の断層崖となってこれに紀ノ川が沿い、北斜面は比較的ゆるやかな山地が起伏して大阪平野へと移行する。

和泉・葛城両山脈には古くから山岳宗教の行場が開かれており、その中心の金剛山はかつては葛城山とよばれていた。また両山脈を行場とする葛城修験道が成立すると、全体を単に「葛城山」とよぶようにもなった。したがって葛城修験道をいう場合、両山脈内の行場が含まれる。葛城修験道は大峯修験道同様顕著な山々と寺の独立した信仰を一本のルートで結んだ修行路を軸として成立った。おもな山に西から大福だいふく山・燈明ヶ岳・葛城山・牛滝うしたき山・経塚きようづか山・三国山・槙尾まきのお山・岩湧山・金剛山・二上山などがあり、これらの山と行場を管理する寺が山麓にあったが、現在は少なくなっている。

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改訂新版 世界大百科事典 「和泉山脈」の意味・わかりやすい解説

和泉山脈 (いずみさんみゃく)

大阪府と和歌山県の境をなして東西にのびる山脈。南側の紀ノ川の河谷とともに,地質構造上の中央構造線に沿ってできた山脈で,西は紀淡海峡から東は紀見峠に至り金剛山地に続く。長さ約50km。高度は西で300m前後,東にいくにしたがって高くなり,最高峰の岩湧(いわわき)山(897m),三国山(885m),大石ヶ峰(860m),葛城山(858m)など900m近い峰が連なる。山脈の南側は,紀ノ川の河谷に向かって急傾斜した断層崖をなし,北側の大阪平野へはゆるやかに移行して,傾動地塊のような地形を呈している。地質は上部白亜紀の和泉砂岩からなり,岩相は海成のレキ岩,砂岩,ケツ岩の互層で,北の領家花コウ岩,変成古生界,白亜紀和泉酸性岩を不整合におおっている。主脈の和泉層群と北の花コウ岩や酸性岩よりなる前山との間には岩質の差によって縦谷が発達している。和泉砂岩は和泉石とか青石とか呼ばれて石碑,灯籠,石垣などに用いられる。中央構造線は和泉層群の堆積前から第四紀まで四つの段階に分かれて動いた。また山脈を断層が横切り,そこにできた鞍部は大阪府と和歌山県の通路となり,孝子(きようし)峠,風吹峠,紀見峠などがある。葛城山,犬鳴山の山腹には中世に修験道場が開かれた。山脈の北斜面は瀬戸内式気候に属して溜池が多く,タマネギ栽培を主とするが,南斜面は温暖多雨でミカン栽培が盛んである。
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百科事典マイペディア 「和泉山脈」の意味・わかりやすい解説

和泉山脈【いずみさんみゃく】

大阪府と和歌山県の境をなす東西約50kmの傾動地塊。白亜紀の和泉砂岩を主体とする。東部が高く,最高点は岩湧(いわわき)山(897m),中部には葛城(かつらぎ)山があり,西部は田倉峠で紀淡海峡に没する。南側は急であるが,北斜面はゆるやかで灌漑(かんがい)用溜池(ためいけ)が多く,ミカン畑にも利用される。
→関連項目泉佐野[市]大阪[府]河内長野[市]高野街道泉南[市]阪南[市]

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「和泉山脈」の意味・わかりやすい解説

和泉山脈
いずみさんみゃく

大阪府・和歌山県境に東西に連なる延長約50キロメートルの山脈。東は金剛(こんごう)山地と境する紀見(きみ)峠に始まり、主峰の岩湧(いわわき)山(897メートル)、三国山(886メートル)、葛城(かつらぎ)山(858メートル)などの山々が続き、西に行くにしたがって低くなり、紀淡(きたん)海峡に至る。地層は中生代白亜紀の和泉砂岩層で、礫岩(れきがん)、砂岩、頁岩(けつがん)の互層からなる。山頂は隆起準平原の平坦(へいたん)面を残して高原状をなし、展望に恵まれ、東部は金剛生駒紀泉(こんごういこまきせん)国定公園に編入され、観光開発が進んでいる。山脈の南斜面は断層崖(がい)で、紀ノ川に沿う中央構造線に該当する。北斜面はなだらかだが、2列の前山列があり、山深い地形をなす。そのため中世修験道(しゅげんどう)の霊場に選ばれ、岩湧寺、七宝滝寺(しっぽうりゅうじ)などの建立をみた。山脈を横断する交通線は峠道を利用し、紀見峠を南海電鉄高野(こうや)線、山中峠をJR阪和線、孝子(きょうし)峠を南海電鉄南海本線が通る。産物に杉、松などの森林資源のほか、山麓(さんろく)ではミカンの栽培が盛ん。また和泉砂岩は碑石など石材に用いられる。

[位野木壽一]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「和泉山脈」の意味・わかりやすい解説

和泉山脈
いずみさんみゃく

大阪府と和歌山県の境界を東西に連なる山脈。全長約 50km。白亜紀の和泉砂岩から成り,北に緩傾斜,南に急傾斜する傾動性の山地で,最高峰は岩湧 (いわわき) 山 (898m) 。ほかに葛城 (かつらぎ) 山 (858m) ,犬鳴 (いぬなき) 山など中世修験道の道場として知られた山々がある。南面は紀ノ川の谷で,山腹にはカキ畑やミカン畑が点在。北西側は大阪平野に続く。山頂にはブナの原生林がある。登山,ハイキングの適地。

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