旧歴史学派(読み)きゅうれきしがくは(英語表記)ältere historische Schule; older historical school

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「旧歴史学派」の意味・わかりやすい解説

旧歴史学派
きゅうれきしがくは
ältere historische Schule; older historical school

ドイツ歴史学派のうち社会政策学会設立 (1873) 以前の W.ロッシャー,K.クニース,B.ヒルデブラントらによって代表される一派前期歴史学派とも呼ばれ,特に G.シュモラーらに代表される新歴史学派と区別した呼称である。旧歴史学派は A.スミス以来のイギリス古典派経済学が個人を重視しすぎているとして批判的な立場をとった。しかし,社会問題としての労働者問題はまだ切実なテーマではなかったため,のちの新歴史学派の課題として残されることになった。

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世界大百科事典(旧版)内の旧歴史学派の言及

【経済学説史】より

…歴史学派の特徴としてはさらに,普遍性を排する相対性の観点,社会生活の統一性の観点,倫理的動機を強調する反合理主義的観点,発展の観点,原子論的・機械論的社会観を否定する有機的社会観,などをあげることができよう。古典派経済学の自由貿易主義を批判し,重商主義的・保護主義的な主張をしたF.リストは歴史学派の先行者であり,歴史哲学要素の濃いW.ロッシャーK.G.クニースなどは旧歴史学派,歴史的・記述的な細目研究を重視するG.シュモラーなどは新歴史学派とよばれる。そして《プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神》で有名なM.ウェーバーの理念型や価値自由性などの方法論的研究は,歴史学派の自己批判であったといえる。…

【歴史学派】より

…しかし彼の晩年,ドイツ資本主義は関税同盟の成立(1834)を経て新たな段階に入り,官僚層による上からの資本主義化が急速に進んでいった。
[旧歴史学派]
 歴史学派はドイツにおける資本主義発展のこのような局面に即応し,官立大学の経済学者によって学派としての成立をみる。W.G.F.ロッシャーB.ヒルデブラントK.G.A.クニースはその3巨人であり,彼らの歴史学派は後の新歴史学派に対して旧歴史学派と呼ぶこともある。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」