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社会問題 しゃかいもんだい social problem

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

社会問題
しゃかいもんだい
social problem

社会の欠陥や矛盾から生じる諸問題。いかなる時代,いかなる社会にもなんらかの意味で社会問題は存在していたが,狭義の近代的意味における社会問題の発生は,資本制的生産様式の成立によって賃金労働者が現れたことに始る。

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出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉の解説

しゃかい‐もんだい〔シヤクワイ‐〕【社会問題】

社会生活に支障をきたすような、社会の欠陥・矛盾・不合理から生じる各種の問題。労働問題住宅問題・公害問題・失業問題・農村問題青少年問題婦人問題など。

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大辞林 第三版の解説

しゃかいもんだい【社会問題】

社会の欠陥・不合理・矛盾から生ずる諸問題。また、社会に大きな影響を与える問題。

出典|三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

社会問題
しゃかいもんだい
social problems

常識的、通俗的には、社会の関心を集め世間の耳目をそばだたせている問題現象をさして使われている。しかし、学問的にはもうすこし厳密な意味を込めて使われてきた。たとえば、世間の耳目をそばだてている問題現象が、個別的、偶然的な原因によるものではなく、社会に原因があるものといった限定もその例である。さらに進めて、問題現象の社会的原因という場合、資本主義社会での問題現象が生み出される原因と筋道の特徴を重視して、社会問題という語を資本主義社会での諸問題にさらに限定して使う例もある。
 そのときどきの社会が原因になっている問題現象というのであれば、古代奴隷制社会にも封建社会にもあり、社会主義社会にもある。しかし、資本主義社会の場合は、さまざまな社会的拘束や強制がなくされて自由が保障されたとしても、資本主義の経済法則によって、必然的に、基本的な社会問題が生み出されるという点で、他の社会と違っている。この点を重視すると、社会問題は資本主義社会での問題現象の特性にあてられた専門用語として使われる。学問的にはこの使い方が多いので、以下この意味に沿って解説する。[真田 是]

社会問題の分類

資本主義の経済法則は、富と貧困との対抗的な両極蓄積といわれるように、働く人々には貧困を押し付ける。そのために、まず、社会問題は働く人々の社会問題として成立してくる。労働問題、農漁民問題、都市自営層問題などがその例である。次に、この階級・階層問題に準じたものとして二つの種類があげられる。一つは、資本の搾取・収奪がとくに激しく行われるような社会集団、社会層がある場合で、民族問題、人種問題、女性問題、青年問題、部落問題などだが、これらは社会的差別を特別な内容としている。もう一つは、自らの労働力を資本に売って生活をたてるという資本主義に特徴的な生活方法のもとで、労働力を売りにくい社会層を巻き込む社会問題で、老人問題、障害者問題などがその例である。階級・階層別の社会問題と並んで第二の柱となってきたものは、階級・階層別の社会問題の中身を問題別に取り出した分類である。貧困問題、住宅問題、環境問題、犯罪・非行問題などがその例である。
 第三の柱は、資本主義が最後の独占資本主義とよばれる段階に達して矛盾が深まるために生み出されるものである。公害・環境問題、土地問題、交通問題、これらを含めた都市問題、社会病理問題などがその例である。[真田 是]

社会問題と社会運動

社会問題は、いろいろな社会運動の基盤になってきたものである。社会運動は、働く人々に押し付けられた社会問題を取り除き、解決しようとして成立してくる。そして、社会運動は社会を変化させるものである。この変化のおもな中身は、人々の見方や考え方に影響を与えて変化させたり、運動のための組織を生み出したりすることでの変化と、社会問題対策が行われることで生ずる変化とである。前者の変化の例としては次のようなことがある。
 どこの国の歴史でも、産業革命は文明や富を社会にもたらすとともに、女性、児童をはじめとした深刻な労働問題と貧困とをもたらした。この現実は、初めは一部の思想家や知識人の注目するところとなり、世論を啓発する運動が行われたが、やがて労働者階級自身の巨大な自主的な運動に引き継がれていった。労働者の過酷な状態を当然視する社会から、それを社会問題としてとらえる社会に変化し始めたことである。そしてなによりも、労働組合が生まれ、全国的な組織に発展し、法的にも保障されるようになって、政治、経済、社会の動向に影響を与えるものに成長することによって社会の変化をもたらした。
 もう一つの、社会問題対策が行われ、制度がつくられることでもたらされる社会の変化についても、歴史上多くの例がある。産業革命によってつくられた労働組合やその運動は、労働者保護のための工場法という社会問題対策の制度を生み出した。また、19世紀末からしだいに各国に社会保険制度がつくられ、働く人々が社会問題に苦しめられるのを軽減、緩和するようになり、やがて第二次世界大戦後の社会保障制度につながった。
 これらの社会問題対策は、社会問題を社会から取り除くものではなく、また支配階級が働く国民をだましたり手なずけたりするためにつくられることもしばしばであって、その意味では限界をもっている。しかし、これらの対策や制度がつくられると、基本的人権や生存権などの民主的な考え方を社会的に広げたり、働く人々の状態を多少とも改善したりすることによって社会の変化をもたらすものである。社会運動によるこれらの社会的変化は、個々にはいろいろな方向がありうるが、大局的には社会進歩の方向での変化である。[真田 是]

社会問題と社会進歩

社会問題は、働く人々の生存や生活が危うくされ、諸権利が侵害されている状態であるから、あってはならないものだし、解決・解消すべきものである。しかし、社会問題の解決・解消は、思い付きや願望でできるものではない。社会問題の性格、特性に即した理にかなった方針によらなくては成功しない。そのためには、社会問題を科学的に研究、分析して、そこからまず、法則にかなった解決・解消の方針をつくりだすのでなくてはならない。ついで、この方針を具体化し現実化していくのにはどうすべきかを研究し、実践し、探り出さなくてはならない。そして、これらの社会問題をめぐる認識活動と実践活動が、社会進歩の中身であるとともに、社会進歩の原動力をなしているものである。
 このような関連でみると、社会問題はあってはならないものであるがために、人間社会の進歩のきっかけをなしてきたものである。しかし、社会問題を解決・解消することは容易なことではない。社会問題はあってはならないものだというとらえ方を広げることからしてそう簡単ではない。「怠け者なので貧乏なのだ」「貧乏が嫌だから人間は働くので貧乏は必要だ」といった私たちの周りにある考え方は、社会問題を肯定している考えである。このような考えを取り除くことができたとしても、社会問題の解決・解消を現実化するのにはさらに大きな障害と抵抗がある。社会問題は、資本主義社会の仕組みから生み出されるものなので、これを解決・解消するのには社会の仕組みを変えなくてはならない。しかし、資本主義の仕組みによって利得を得、支配をしている者にとっては、社会問題解決のために社会の仕組みを変えることは、利得や支配権を失うことなので、これを阻止しようとする。資本主義社会がもっとも優れた社会であるとか、人間の本性にマッチした社会なので変えるべきではない、といったイデオロギーがいろいろつくられてきたのはこのためである。
 しかし、社会問題を出発点にした認識活動や実践活動や、これに向けられる攻撃、抵抗などは、結局、働く国民を鍛え、社会改良をつくりだして社会進歩を実現するとともに、社会進歩の原動力を発展させて、やがて社会問題を解決・解消していくはずである。[真田 是]
『真田是・後藤和夫著『社会体制と社会問題』(1970・青木書店) ▽真田是著『現代社会問題の理論』(1978・青木書店) ▽『季刊労働法 別冊7 現代の社会問題』(1980・総合労働研究所) ▽岩内亮一編著『社会問題の社会学』(1990・学文社) ▽真田是著『社会問題の変容』(1992・法律文化社) ▽C・A・エルウッド著、萱沼素訳『社会問題』(1992・学文社) ▽青井和夫・高橋徹・庄司興吉編『市民性の変容と地域・社会問題――21世紀の市民社会と共同性 国際化と内面化』(1999・梓出版社) ▽中河伸俊著『社会問題の社会学――構築主義アプローチの新展開』(1999・世界思想社)』

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