クニース(読み)くにーす(英語表記)Karl Gustav Adolf Knies

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クニース」の意味・わかりやすい解説

クニース
Knies, Karl Gustav Adolf

[生]1821.3.29. マールブルクアンデルラーン
[没]1898.8.3. ハイデルベルク
ドイツの経済学者。旧歴史学派を代表する一人。ハイデルベルク大学に学び,のちフライブルク大学教授 (1855) ,ハイデルベルク大学教授 (65~96) として経済学,統計学の講座を担当。 W.ロッシャー,B.ヒルデブラントとともに歴史学派の創設者であり,経済学を最も純粋に歴史的方法の立場で追究しようとした。主著『歴史的方法に基づく政治経済学』 Die politische Ökonomie vom Standpunkte der geschichtlichen Methode (53) は,古典派経済学を批判し歴史学派の方法論を基礎づけたものとして有名。ほかに『貨幣と信用』 Geld und Kredit (2巻,73~79) などがある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「クニース」の意味・わかりやすい解説

クニース
くにーす
Karl Gustav Adolf Knies
(1821―1898)

ドイツの経済学者。マールブルクに生まれる。ハイデルベルク大学に学び、1865年から96年まで同大学教授を務めた。ロッシャー、ヒルデブラントとともにドイツ歴史学派の創始者とされる。彼は経済学研究の歴史的立場を強調し、とくにその方法論を展開した。すなわち、国民経済とはイギリス古典派経済学の考えるように利己心をもつ個人の単なる集合ではなく、歴史的に形成される有機体であるから、国民経済学は国民経済の変化・発展様相を歴史的・比較的に考察しなければならないとして、経済史研究の重要性を強調した。しかし、彼は具体的な経済史研究には関与せず、方法論に没頭した。彼の主張は、シュモラーなど後期歴史学派に大きな影響を与えた。主著には『歴史的方法に基づく政治経済学』(1853)がある。

[一杉哲也]

『M・ウェーバー著、松井秀親訳『ロッシャーとクニース』全二巻(1955、56・未来社)』

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