春日詣(読み)かすがもうで

精選版 日本国語大辞典 「春日詣」の意味・読み・例文・類語

かすが‐もうで‥まうで【春日詣】

  1. 〘 名詞 〙 奈良の春日大社参詣すること。特に藤原氏の氏長者(うじのちょうじゃ)が詣でること。
    1. [初出の実例]「伏し沈み、病になりてありしを、殿のかすがまうでに、辛うじて起きあがりたりしに」(出典:宇津保物語(970‐999頃)春日詣)

春日詣の語誌

( 1 )春日大社は藤原氏の氏神であり、藤原氏の氏長者がたびたび参詣した。参詣は威儀を正し、華美を極めたもので、「中右記」には、嘉承元年(一一〇六)一二月一六日に忠実が参詣した模様が詳細に記録されている。
( 2 )文学の舞台としては、「宇津保物語‐春日詣」で、源正頼が母方が藤原氏である縁で、子息・婿たちを伴って春日大社に参詣する場面を描く。
( 3 )「日本紀略」によると、永祚元年(九八九)一条天皇の春日大社行幸があるが、これ以後、行幸・御幸などもしばしばあった。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の春日詣の言及

【春日大社】より

…摂政・関白・氏長者として栄華をきわめる藤原氏北家(摂関家)はすべて春日大明神の威徳によるものとして春日社の祭祀に努めたのである。とくに氏長者の参詣は春日詣(かすがもうで)といわれ,春日祭にも倍する盛儀となり,また行幸や御幸なども頻繁となった。そのつど,神宝や芸能および神領が奉納寄進された。…

※「春日詣」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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