曠野(読み)あらの

改訂新版 世界大百科事典 「曠野」の意味・わかりやすい解説

曠野 (あらの)

俳諧撰集。山本荷兮かけい)編。1689年(元禄2)刊。全3巻。《俳諧七部集》の第3集。西行の五百歳忌を記念して,その百首歌にならった部立(ぶだて)の下,発句735句と連句10巻を収める。編集の意図は,芭蕉序文によると,《冬の日》(1684・貞享1),《春の日》(1686)の2集に欠けた〈実(まこと)〉の追求にあるというが,巻頭に貞室の〈これはこれはとばかり花の芳野山〉の句を置いたり,貞門や談林の句を数多く採用したりしていて,本集の〈実〉が古風にも共通する有心(うしん)の正風性であったことをうかがわせる。この復古主義は新しみの追求を阻害するものとして,2年後の《猿蓑(さるみの)》ではしりぞけられたが,蕉風俳諧の確立には避けて通ることのできない道であり,とくに〈雁がねもしづかに聞けばからびずや 越人/酒しゐならふこの比の月 芭蕉〉の唱和で始まる両吟歌仙は,《猿蓑》への推移を示す代表的な連句作品として高く評価される。
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