有斐閣(株)(読み)ゆうひかく

日本大百科全書(ニッポニカ) 「有斐閣(株)」の意味・わかりやすい解説

有斐閣(株)
ゆうひかく

1877年(明治10)江草斧太郎(えぐさおのたろう)(1857―1908)によって東京・神田一ツ橋通町に創業された出版社。初め有史閣と称し、書店として出発したが、79年有斐閣に改め、出版業に進出した。1887年江木衷(まこと)著『現行刑法汎論(はんろん)』、翌年に同著『現行刑法各論』を出版、これが版を重ね、経済的基盤を築くと同時に出版分野を法学書に定めた。1897年田島錦治(きんじ)著『最近経済論』を出版、分野を経済学書に広げた。1901年(明治34)『帝国六法全書』を発行、これが現在の有斐閣版『六法全書』に連なっている。1892年畠山(はたけやま)健著『小学歴史入門』を出版、初等教科書部門に進出、1905年国定教科書の翻刻発行者になった。出版分野は時代を経るにしたがい拡充され、有斐閣双書、有斐閣新書などのほか、雑誌『ジュリスト』などを発行、辞典類の電子出版も行っている。2008年(平成20)までに刊行した書籍タイトルは1万1200に及んでいる。

[矢作勝美]

『矢作勝美編著『有斐閣百年史』(1980・有斐閣)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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